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ゴールデンウィーク明けの学校。
なんで一週間近く休んで一発目から七時間も授業があるんだ……午前授業とかでリハビリしたい。
「はぁ……」
ため息を漏らしながら駐輪場から下駄箱への道を歩く。
「シュンくん、おはようございます!」
なぜか下駄箱の前に立っていたタイガに声をかける。
「なんでここに?」
「僕もこの学校の生徒なんですけど」
「そういうこと言ってんじゃないんだけどな」
俺が言いたいこととは違う捉え方をしたタイガ。考えてみればこのゴールデンウィークはほぼ毎日タイガと一緒にいた気がする。
そう思うと苦笑いしてしまう。
「なんで苦笑いなんです?」
「なーんでだ?」
下駄箱を抜け廊下を歩いていると背後から声がかかる。
「何してるんですか朝から」
そう言ってくるのは三つ編みおさげの眼鏡っ娘、千鶴。後ろからの声に振り返る。
「誰だよ⁉」
そこにいたのはショートカットで眼鏡の無い美少女。
「千鶴よ!」
千鶴だった。
「どうした千鶴~?イメチェン~?」
「な、何よ、似合わない?」
口を尖らせる千鶴をジロジロと眺める。
「いいんじゃない?似合ってると思うよ」
「っな⁉」」
耳まで赤くして千鶴が照れている。きっと褒められ馴れてないのだろう。
そう言った俺も女の子に可愛いなんて恥ずかしくて言えないため、当たり障りのない、キモイと言われない程度の誉め言葉を口にした。
「っふん!あんたに言われても嬉しくなんかないんだからね!」
そのセリフを聞いて俺がタイガに耳打ちする。
「おいタイガ、千鶴が本当にツンデレみたいになっちまったぞ」
「シュンくん、ツンデレってことまでわかってるなら……」
「何だよ?」
その発言にタイガが軽く引く。
「シュンくんって以外と主人公ですね」
「お前はたまにわけわからないことを言うよな」
そう言うとのけ者にされていた千鶴が口を挟む。
「シュンさん」
「何だよツンデレ」
「私のどこがツンデレですか⁉」
「それ本気で言ってる?」
そう言うとタイガが肩にポンと手を置く。
「僕も同じことが言いたいです」
「だろ?」
「シュンくんにですよ」
「え?」
わけのわからないことを言うタイガ。
「んで、なんだよ?」
「あの、えっと……」
キーンコーンカーンコーン……朝のホームルームを知らせるチャイムが鳴る。
何か言いかけたことがあるようだった千鶴だが、チャイムが鳴ったからには教室に急がなければならない。
「悪い、予鈴だ。あそこのテーブルで昼休みに弁当食べてるから、何か要件があるなら昼休みとかに頼む」
「あ、はい!」
千鶴はなぜか元気よく返事を返し、三人は各々教室へ向かった。




