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タイガルフ  作者: 波左間たかさ
5月
60/81

33

 次の日にはこのことはニュースで報道されていた。


 それを見て初めて、犯人が高校生であることを知った。動機は『どうせ自殺するのであれば一人でも多くの人間を道連れに』ということらしい。

 被害者はカナデと母さんの二人のみ。それ以外の周りの人は母さんとカナデが襲われたのを見て逃げたらしい。

 ニュースではカナデと母さんの名前のみが連日報道され、犯人の高校生の名前は一切報道されなかった。

 僕や父さんも取材を受け、ニュースや新聞に顔を載せることになった。

 ニュースや報道番組で散々討論され、話のネタにされた後、他の事件と同じように世間の認識から薄れ、誰も話題にしなくなった。

 そんな日々が続いたため、僕も父さんもストレスが溜まっていった。


 そして父は酒に溺れた。

 支えてくれるパートナーが、最愛の愛娘がいなくなった父は酒以外にストレスのはけ口がなかったのだ。同じように傷心している祖父母に頼るわけにもいかず、幼い少年に自分の弱さを吐きだすことも決して気が進まなかったのだろう。

 間もなく、父は仕事へ行かなくなった。話してはくれなかったが、いつの間にか辞めたらしい。

 僕も一日だけ学校に行ってから、それ以降行かなくなってしまった。


 一回だけ学校に行ったとき、周りの目線が耐えられなかった。僕が行く前に集会でこのことが話されていたらしく、学校では生徒、先生問わずに視線を感じた。何かコソコソ話されていることは齢救済の僕にでも容易に分かった。

 そのことが原因でコソコソ話されると自分のことを何か言っているのではないかと思うようになった。視線を感じると誰かが憐れんでいるようで不安になった。

 今まで大好きだった教室、友達を嫌いになるのに長い時間はかからなかった。

 原因はそれだけではない。

 行間休みのことだ。いつも通り、友達と校庭でドッジボールをしようとしたとき、急に心臓が苦しくなった。膝が震え、歯の根が噛み合わなくなった。

 自分が出かけた間に母さんとカナデが死んだことが思い出してしまう。

 不安で不安で仕方がない。外へ出て遊んでいる間にまた家族が……知り合いがいなくなっていたらと思うと、とてつもなく嫌だ。

 パニックを起こし、声を荒げる僕を見てただ事ではないと察した友達は職員室に先生を呼びに行ってくれたらしく、いつの間にか気を失っていた僕は保健室で目覚めた。

 その後、父が迎えに来てくれた。タイミングが良かったらしく、酔っ払ってはいなかった。

 父は血相を変えて走ってきたらしく、肩で息をしていた。

 父は僕を見ると安堵し、ギュッと抱きしめた。その瞬間、何かがプツンと切れ、涙がボロボロこぼれた。

 先生と父さんが相談した後、当分無理に登校しなくていいという結論に至り、不登校になった。

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