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タイガルフ  作者: 波左間たかさ
5月
54/81

27

 五月五日、こどもの日。国民の休日だ。

 前日の五月四日に模試があったため、俺の身体はクタクタだ。

 だと言うのに、今日は朝から予定が入っている。このゴールデンウィークで一番大きなイベントと言っても過言でもではない。タイガと岩ノ森光太郎漫画館に行くのだ。

「だからって、早すぎんだろ」

 時刻は朝八時、場所は仙台駅だ。

 なぜこんな朝が早いのか?俺だって疑問のままこの場に来ようとは思っていなかった。

 昨日、模試が終わった後のことだ。

 夕飯と風呂を済ませ、もう寝るだけという状態になって部屋でくつろいでいた時、スマホがなった。

 メッセージを確認してみると送り主はタイガだった。

『明日は朝八時に仙台駅で』

「は⁉」

 思わず声が出てしまった。俺の想定より四時間くらい早かった。

『ちょっと早すぎないか?』

 見た瞬間に返信を送った。

「……」

 しかしそれ以降タイガは未読、返信がくることはなかった。

「くそぅ……」

 ということで、諦めて早起きすることにした。

 そして現在に至る。

「仕方ないじゃないですか、ねぇ父さん」

「あぁ、タイガが友達持って言うんでおじさん張り切っちまってな」

 そう言うのは金髪褐色肌のマッチョ。華奢なタイガとは似ても似つかない。

「おぉ君がシュンくんかぁ、やぁやぁあえて光栄だよ」

 怖そうな見た目とは裏腹に、タイガのお父さんは気さくに話しかけてくる。肩をバンバン叩いてきて、ちょっと痛い。

「いて、いて、いてて」

「おぉ、見かけによらず良い筋肉してるなぁ。何かスポーツでもやってたのかい?」

 今度は二の腕を掴まれてそう聞かれる。

「はい、えっと、剣道をやってました」

「かぁ!いいねいいね、ガハハハハ」

 ガハガハ笑って、またバンバン肩を叩く。

「おじさんも若いころはよく体を鍛えては戦ったもんだ!いいなぁ、若さ!俺が現役なら一度やり合ってみたかった!」

 現役?何の?と聞く前にタイガの父はまた俺の肩をバンバン叩く。

「もう父さん、ここは家じゃないんだからもうちょっと静かに」

「お、悪い悪い、ついな」

 確かに周りの人間の視線が冷ややかだ。

「武田さん、お酒飲んでる?」

 初対面相手とは思えない失礼発言にも武田父はガハガハ笑う。

「今から運転するんだ、飲むわきゃねぇだろ?んじゃあ行くか!」

 石巻と聞いていたため、仙石線で向かうものだと思っていたが、向かったのはホームではなく駐車場だった。

「乗れぃ!小僧ども!」

 どこまでも騒がしい武田父である。

 白い軽自動車の後部座席に俺とタイガは乗り込む。

「とりあえず一旦漫画館に送っていく、俺は用事を済ませてから行くから遊ぶなりなんなりしといてくれ」

「うん、わかった」

「わかりました」

 珍しく二人の敬語とため口が入れ替わってると思いながら、そんなこと気にした様子もない武田父は車を発進させた。

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