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「結局大丈夫なんですか?」
何が?とは聞かない。わかりきっているからだ。
「まぁちょっとはやってたし、午後にやりゃ大丈夫だろ」
俺とタイガは平日と変わらず一緒に廊下にあるテーブルで俺はコンビニで買ったパンやらおにぎりを、タイガは持参した弁当を食べていた。
タイガの疑問、それは俺の勉強の進み具合にある。来てから一時間程度ライトノベルを読みふけり、その後も一時間置きにライトノベルを開いては読んでいた。
「ふわ~」
大きくあくびをして目を擦る。
家を出たのは七時半、平日とそこまで大差ない。つまりこの時間は通常の授業であれば寝落ちしている時間だ。
「なぁタイガ」
腕時計に目を向けて時間を確認してからタイガを見る。午後一時。
「三十分で起こしてくれ」
「大体想像ついてましたよ」
タイガがため息とともに言葉を吐きだす。
「明日模試なのに本当に大丈夫ですか?」
純粋な心配であるのはわかる。しかし、五月初頭の俺に受験に対する危機感はそんな強く表れていない。
「もしもしもしもし、うるさいなぁ。お前は誰かと電話でもしてんのか」
故にまだ気持ち的にも余裕がある。
「僕のケータイなら下駄箱ですよ」
「それはそれでなんでだよ」
「持ってたら使っちゃうじゃないですか」
「ガチ勢め」
「その言い方だとシュンくんはエンジョイ勢ってことになりますけど、エンジョイしてますか?」
「バカかお前、同じことを自分の心に聞いてみろ?楽しいか?」
「楽しいわけないじゃないですか!この人でなし!」
「言いすぎだろ」
「同じ読むなら問題文より説明書ですよ!」
「それはお前の趣味の問題だろ。とりあえず、自分が嫌いなことは他人だって嫌いなんだよ」
「じゃあシュンくんも説明書派ってことですか?」
「なんだよその派閥は」
「牙狼タイガーのベルトって思わぬところにボタンついてることがありまして、そういうのがないか一応確認するために読むんですよ」
若干論点がずれている気がするが、幼少期に買ってもらった牙狼タイガーのベルトについて考える。
「いや読まなかったな」
売ることを考えず、ゲームの説明書ですら捨ててしまっていた幼少期の俊太郎はきっとベルトの説明書を箱とともに捨てていただろう。
「ま、そういう僕も説明書はあんまり読まないんですけどんね」
「じゃあなんだよ今の会話は」
「だってポーズとかってテレビで見て普通に覚えちゃうじゃないですか」
「論点は絶対にそこじゃないと思うぞ?」
こうして昼食をとりながら、タイガと意味のない会話を続けた。そして順調に模試前日の勉強時間を浪費していったとさ。




