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困っているところに男の子が助けに来るなんて漫画やアニメの、フィクションのことだと思っていた。
「俺、あぁいうタイプ苦手なんだよな」
頭をポリポリ掻きながらシュンさんが呟く。
「あ、あの……」
言わなければならないことがある。今回の件は完全に私が悪い。
「すいませんでした……」
そんなに気にしてもいなかったのか、シュンさんは豆鉄砲を喰らった鳩のような表情をする。
「え、あ、あぁ、え?何が?」
本当にあまり考えていなかったらしい。
「私、つい感情的になっちゃって……弟置いて行って……」
恥ずかしさと自分に対する嫌悪感、こんな私を助けてくれたシュンさんに泣きそうになる。
「ばーっか、お前そんなこと気にしてたのかよ」
「だって、私、自分勝手で……」
「そんな気にするなって」
「で、でも……」
「本人が気にするなって言ってるんだぞ?タイガだって気にしてねーよ」
「でもそれじゃあ、私の気が済みません!」
「えぇ……」
面倒くさそうに腕を組んで悩むシュンさんは不意に名案とばかりに顔を上げる。
「あ、んじゃあ俺の頼み二つ聞いて」
「わかりました」
「即答かよ」
「断る理由もないので」
「一旦聞けよ、こちとら男子高校生だぞ?」
「はい」
「はいってお前……別にやましいことじゃないけどさ」
仕切り直し、シュンさんが要求を口にする。
「一つ目、千鶴、お前の連絡先を教えてくれ」
「な、なんでですか!」
先ほどまで何でも来い。どんと来いと思っていたが、考えていたのと全く違う要求に唖然とする。
「あ、はい、もちろん、よろこんで」
「あ、いいんだ。まさかオッケーくるとは思ってなかった。ダメなら今回みたいにお前が逃げたら連絡とれないじゃんって言おうと思ってたのに」
「別にそんなこと言われなくたって教えますよ」
少し意外そうだ。シュンさんは私にどんなイメージを抱いているのだろうか。
「それでもう一つは?」
そう聞くと気を取り直して口にする。
「二つ目はさっきの続きが聞きたいと思ってさ」
「続き?」
なんだろうと思い出す。
「あれは、そのぉ……」
シュンさんが言わんとするのは牙狼タイガーレイワンショーの際、邪魔され続けた話だろう。
「あれはシュンさんに……」
「やっと見つけましたよシュンくん‼」
シュンさんの後ろからタイガが急に現れ、またも話が途切れる。
シュンさんの今にも吹き出しそうな顔を見て、私の手に力が入った。
「千鶴さんってば本当にタイミングがいいよねッブバ!」
「あ、すいませんすいません!つい!」
反射的にまたシュンさんに平手打ちしまう。
「お前、本当に……暴力……」
「すいません、すいません、すいません……」
倒れ伏すシュンさんのつぶやきにぐうの音も出ない。
「あれ、なんか邪魔しちゃいました?」
なんの悪意もない武田先輩の声が響いた。




