15
「シュンくん!」
弘樹と別れてすぐ、タイガから連絡があった。
独りになりたい気分だったが、勢いに負け、俺の居場所を教えるとタイガがここに来るまで五分程度しかかからなかった。
「よ、タイガ」
先ほどの弘樹とのやり取りの後遺症でテンションは低めである。
そんな俺を見てタイガがホッとしたように息を吐く。
「よかった。あんまり不機嫌じゃなさそうで」
本当にそう思ったとしても、本人の前で言うのはいかかがなものだろうか。
「誰がそれを?」
「さっき弘樹君が」
「ちょっとチュロス買ってくる」
「シュンくん、チュロスは武器じゃないんですよ?」
「んなこと言ったらバットとか鉄アレイだって武器じゃないだろ?」
「鉄アレイで戦ってるところなんて見たことないですけど、やっぱり金属ですし」
「チュロスも成分見れば少しくらい鉄分があるだろ」
「なんですか?シュンくんはレバーとかも武器として認識してるんですか?」
「凍らせれば鈍器だろ」
「……」
タイガと言葉を交えながら千鶴探しを続ける。今のところ収穫はゼロ。
二手に分かれているとはいえ、この広い遊園地を探すには少ない。
こんなことなら千鶴の連絡先でも交換しておくべきだった。となんとなく思うも、俺はそんなに女子にガツガツいける性格でもないし、高いコミュニケーション能力も持ち合わせていない。
もしあったとして、自分に対してあんなに強い態度をとってくる相手に自分から連絡先を教えてほしいなど言えるわけもない。
「はぁ」
多少不甲斐ない部分があったのは認めよう。でも、元を辿れば悪いのは千鶴だ。あいつが京汰を置いてどこかに行ってしまったのが悪いだろ。
「よし」
無理矢理自身を正当化し、精神の安定をはかる。
「はい、もしもし?」
俺がそんなことを考えているとタイガが隣で電話をとる。
「あ、アキくんですか。え?風紀委員長はツンデレか?えーっと、わかりかねます。あ!っぽい女の子を見つけたんですか!」
隣からの朗報に思わずタイガのスマホ奪い取る。
「おい!本当か!詳しく!」
『お、おうシュン。了解した』
タイガの電話の相手は明人だった。
先ほど気にされていることを知ったので少しだけ気まずい。
だが、今はそんなことより千鶴だ。
「千鶴は?」
『弘樹のナンパにビビったみたいでイッテ!悪い!ナンパじゃないな!あれは違うよな!ゴメン!ゴメンって!だからそのチュロスは……』
不穏な言葉を残し、明人が消える。
ッガタ。という音はスマホを落とした音だろうか?
『あ、悪いシュン。電話変わった』
次に現れたのは明人ではなく弘樹だ。
「おい弘樹、明人に何した?」
『聞かない方が身のためだ』
「……。わかった」
あとで明人に直接聞くことにしよう。
「んで、千鶴は?」
『あぁ、お化け屋敷の方に走って行った』
「お前何したんだよ」
『聞かない方が身のためだ』
明人に聞かなければならないことが増えたようだ。




