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「はぁ……」
ベンチに座り、一人ため息を吐く。
なぜ私は人の前あんな態度をとっていまうのだろう。
人に怒り、弟がいることも忘れて感情のままにその場を飛び出してしまった。
「嫌われた……絶対に嫌われた!わああああああああ‼」
顔を覆い、叫ぶ。
周りの人の目を気にせずに叫んでしまった。恥ずかしくて当分顔を上げられそうにない。
「はぁ」
武田先輩もシュンさんもきっと私たちと同じように遊びに来たであろうに。
それなのに……運動会でちょっとあっただけのよく知らない後輩に弟を押し付けられ、保護者は行方を眩ませてしまった。
「うぅ……」
罪悪感に苛まれ、胃が痛くなった気がする。
彼らは優しいから、きっと京汰と一緒にいてくれるだろうが、今からどの面下げて彼らに会えばいいのだろうか。
今日は運動会の日に一緒に謝りに来てくれた親友の幸花はいない。心細い。
京汰は絶対に置いて帰れないし、でもシュンさんにどの面下げて会いに行けばいいのかわからない……
「あああああああ……」
家族の会話やカップルの喧騒がかき消してくれると祈りながら、再び嘆く。
どうしたらいいのか。私はシュンさんの連絡先も武田先輩の連絡先も持っていない。
「あわよくば、見つけてほしい……」
と、思うものの、そんなものは願望でしかない。
ここのベンチで座っているだけで相手が見つけてくれるとは思っていない。
大人しく足で探すしかないか。迷子センターという手もあるが三対一の構図を見れば迷子は私の方だ。
今でさえツンデレ委員長という奇天烈な名前で呼ばれているのだ。
迷子なんかになってみろ?面白い要素が追加されてしまえばシュンさんからなんて呼ばれているかわかったもんじゃない。
それに、元はと言えば原因は私だ。
ここで私から動かなければ本当に合わせる顔がない。
「よし!」
顔を覆っていた手を戻し、頬を叩く。
一度、ゆっくり深呼吸するとこちらに歩いてくる二人の男に気が付いた。
「ねぇねぇ君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
一人の男が軽い口調で話しかけてくる。
これが世に聞くナンパというやつか?私には一生縁のないことだと考えていただけに頭が真っ白になり、男たちの言うことが頭に入ってこない。
「あ、あ、あの、えっと」
「ん?どうしたの?」
優しい口調で話を聞こうとする男だが、ここで心を許してしまえばナンパ男の思うつぼだ。
こういうナンパするような陽キャは当然のように休憩場所に向かい、貞操を狙ってくるに決まっている。
考えがそこに行きついた瞬間背筋が凍り、顔から血の気がなくなった(気がする)。
「わ、私!つ、つ、連れがいるので!失礼します!」
緊張のあまり言葉が震えてしまった。
早口に伝え、早足にその場を後にする。
「あ、ちょっと!」
男が引き留めようと声を上げるも、気にせずに逃げた。




