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タイガと別行動をはじめ、弘樹とはすぐに合流することができた。
「悪い、シュンを怒らせたみたいだ……」
出会い頭にそう言われ、間を取り持ってほしいと頼んだ側としてはバツが悪い。
「シュンはなんて?」
「明人が気にすることじゃないって」
苦笑。謝罪を求められるわけでもなく、何か罰が与えられるわけでもないことが歯がゆい。
「みんな怖がってるって言ってた。まだ、あのときのイメージを払拭できてないって。実際、あれ以降みんながシュンを避けてたことは言うまでもないし、陰であれこれ言われ、可愛げのない悪戯を毎日のように受けてたからな」
「俺も含めて……か?」
弘樹は何も言わない。無言で肯定する。
「仕方なかった。なんて言えないだろ?明人の気持ちだってわからなくはないさ。でも、周りに流されなきゃ、ちゃんと信じてられてりゃ回避できてたことだ」
弘樹の正論に耳が痛い。過去の自分に対する後悔。許されるはずのない行い。それを許していた当時の自分。
全てにイラつき、許しも罰も与えられないことにやるせなさを覚える。
「何もかも昔みたいになんてのは机上の空論なんだろ。お前がシュンにしたことも言ったことも何もかも今となっちゃ取り返しのつかないことなんだからな」
今にも泣きだしてやりたかったが俺は被害者だはない。どちらかと言えば加害者。因果応報、自業自得というものだ。
「まぁいいさ、俺がここでお前のこと責めたって明人とシュンが仲直りできるわけじゃないからな」
そう言って弘樹は話を締めくくった。
弘樹だって俺に言いたいことは色々あるだろうに。
「ほら行くぞ。一旦明日香ちゃんのところに戻ろうぜアレぇ?」
急に語尾がおかしくなる弘樹に違和感を覚える。
「どうしたんだよ」
聞くと、弘樹は俺の肩に手を回し、耳打ちする。
「あの子あの子」
弘樹の指さす方向を見ると先にいるのは三つ編みおさげの眼鏡っ娘が一人ベンチで俯いている。
「なんだ弘樹ああいうのがタイプなのか?」
「あぁそうだな。地味に見えるがマブい女ってばかか」
先ほどの重たい話を忘れさせる乗り突っ込みに沈んでいたテンションが通常ラインまで回帰する。
「違うよ。三つ編みに眼鏡っていう絵に描いたような風紀委員長は」
「シュンはツンデレって言ってなかったか?」
「バカ、風紀委員長は基本的にツンデレなんだよ」
「そんなもんなのか」
「よし、行くぞ」
「おい、待てって」
何食わぬ顔で歩いて近付く弘樹。後には引けず、俺もそれに倣い弘樹の横を歩く。
「ねぇねぇ君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」




