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タイガルフ  作者: 波左間たかさ
5月
36/81

9

「あ、シュンくん!こっちこっち」

 俺たちに気付いた吉田さんが椅子から立ち上がり、手招きする。

 吉田さん達との待ち合わせ場所に選んだのはフードショップ。周りには丸テーブル一つに椅子が四つ並べられたセットがいくつもある。

 吉田さん、明人、弘樹で一つのテーブルを使っているのを見て、俺たちも三人で一つのテーブルを占拠する。

「今までどこ行ってたんだ?」

 三人にはまだ俺たちが牙狼タイガーのショーを見に行ったことを話していない。

 どうしたものかと横目でタイガを見ると見るからにオドオドしていた。

 嘆息し、ショーのことは秘密にしておこうと決めてから弘樹を見る。

「タイガがあんまり遊園地とか来たことないっていうから色んなとこ散歩してたんだよ」

 そう言うと弘樹は納得してくれたようで

「そうなのか、でも次からは一言言っとけよ。心配するからな」

 それ以上言及することはしなかった。

「それで?そこに座ってる男の子が」

 吉田さんが俺とタイガの間に座る京汰を見ると、弘樹と明人もそれにならって京汰を見る。

 人のことを言えた顔つきじゃないが年上の体育会系に集中的視線を浴びせられて京汰が泣いてしまったらどうするのか?

「この子は京汰。知り合いの弟なんだけど、姉貴とはぐれちゃってさ……」

「こ、こんにちは。中田京汰、小学校二年生です」

 知らない人が三人も増えて緊張しているのか、タイガや俺と一緒にいたときより声も表情も硬い。

 忘れていたが俺も京汰に自己紹介をしていない。先ほどから彼氏と呼ばれていた。

「オーケー京汰、よくできたな。俺は俊太郎、シュンでいいよ。んで、さっきから一緒にいたうるさいのがタイガ、あっちのごついのが明人で、違うのが弘樹だ」

「俺らの違いはごつさだけか……」

 弘樹が悲しげに呟く。

「んで、あそこの女の子が吉田さん」

「なんで私だけ苗字なのよ!京汰くんよろしくね、明日香でいいよ」

 京汰に優しげな天使のほほえみでそう言う。かわいい。

「えと、えーっと……」

 ご丁寧に全員の名前を覚えようとしているのか、一人一人の顔を見てそれぞれの名前をボソボソ呟いている。

「で、この子、京汰が迷子って話なんだけど」

 京汰が未だ奮闘している中、高校生組に一応考えておいたプランを説明する。

「現状、京汰の保護者、千鶴って言うんだけど」

「女か」

 名前に弘樹が反応する。

「うるさい」

「シュンが名前呼びなんて珍しいじゃん」

「いいんだよ、あいつは他に思いつかなかったんだ」

「ふ~ん」

 何か言いたげだな?と言及したいのは山々だったが変な誤解を招いても困るのでスルーする。

「んでだ。現状千鶴の顔把握してるのって俺とタイガと京汰だけ……だよな?」

 一応知らないであろう三人を見るが反論の声は上らない。

「だから、三チームにわかれて捜索することにしよう。俺と弘樹、タイガと明人、京汰と吉田さん。あと吉田さんと京汰はここにいてくれ、ここは入園するゲートからすぐのところにあるから千鶴がもし、万が一、ないと思うけど帰るようなことがあればここで見つけられるはずだ」

「わかった。よろしくね、京汰くん」

 それだけ説明し、席から立ち上がる。

「よし!んじゃあ、捜索開始だ‼」



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