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「ギャー‼」
目の前では想像していたより本気度の高い声が響いている。
今から乗ろうとしているのはこのペニーランドの中で一番怖いと言われているジェットコースターだ。
何故かこのジェットコースターの安全バーは上から被るタイプではなく、前から倒すタイプだ。これで落ちる時の頼りなさと言ったら過去に、お願いしますからもっと安心できるのをつけてください。と係員に縋りついた人がいたほどだ。(ペニーランドはフィクションです)
「で、お前はなんで乗らないんだ?」
弘樹、明人、吉田さんの三人がジェットコースターに乗っている中、俺とタイガは二人でベンチに座っている。
「僕はもとからアトラクション目的に来たわけじゃないので乗り放題のやつじゃないんですよ」
ペニーランドの入場券には乗り放題のものと、入場するだけのものの二つがある。今、ジェットコースターを堪能している三人は乗り放題だが、もとからアトラクションに乗る気のないタイガと最初から財布にさほどお金の入っていなかった俺はアトラクションに乗るには乗り物券とかいうのを購入する必要がある。
アトラクションに乗る気のないタイガと財布に余裕のない俺がわざわざ何か乗るために買うかお聞かれれば微妙な話だ。
「驚かないんですね?」
「そんなもんだと思ってたからな」
頬杖をつきながら答える。
「お見通しってことですか」
「んな大したもんじゃねぇよ。大体お前、今日ペニーランドには一人で来てたんだろ」
「おぉ、お見通し」
パチパチ笑顔をこちらに向けて拍手してくる。
「さっきみんなに何でいるのか聞いたときにお前だけ誰と一緒って話にならなかったからな」
「おぉ、名探偵」
拍手をやめ、関心するような視線で見てくる。
「んで、そんな独りもんが何が悲しくてゴールデンウィーク初日のペニーランドにアトラクション乗りに来るんだと思ってな」
「いるかもしれないじゃないですか」
そう返され、思わず嘆息する。
「あぁ、いるかもな。でもそれはタイガではねぇだろ」
「おぉ、心理学」
段々適当になっている気がする。
「俺の知ってる武田大牙はそんなことより牙狼タイガーだろ」
「わーお、やっぱりお見通しじゃないですか」
「何が?」
向かい合う俺とタイガが同じ方向を見る。
そこにいたのは俺が恋焦がれる憧れの人。吉田明日香だ。
「何がお見通しなの?」
男児というのは何故好きな女性を目の前にすると動悸が速くなり、上手く口が回らなくなるのだろう。
話さない役立たずな俺のことなど気にもせず、タイガが応える。
「あ、えっと……シュンくんがまるで心を読んでいるかのようなイッタイ!」
訳のわからないことを言うタイガの後頭部をスパーンと引っ叩く。
「何言ってんだお前!バッカじゃねぇの⁉」




