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タイガルフ  作者: 波左間たかさ
4月
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1

 その日も普通の一日になると思っていた。


 高校も三年目に突入し、土曜も家じゃ誘惑が多すぎて集中出来ないため、片道二十分のサイクリングをして学校で勉強していた日のことだ。


 昼食を軽く済ませた後眠気に襲われ、仮眠するか、本でも読むか、ゲームをするかを考え、どれもダメだと校舎の一階にある自動販売機へ向かい、百円くらいの安っぽいエナジードリンクを買って再び三階の自習室に戻ろうとしていた時のことだ。

 手に持つエナジードリンクの冷たさを感じながら、眠気と争っていた俺はどうにも気が緩んでいた。いや、気が緩んでいなくたってアレは避けようがない。

「あ、あぶなぁ……‼︎」

 その声が俺の耳に届いた頃には重力×体重×sinθを靴の面積で割っただけの圧力(空気抵抗なんかは知らん)が俺の胸に伝わっていた。所謂飛び蹴りってやつをノンフィクションで初めて見たし、喰らった。

 好きな子に不本意に嫌われたとしても、こんなに胸が痛むことはないだろうし、まずそれなら物理的には痛くない。

 とにかく痛かった。まともに受けた俺は後ろの壁に頭をぶつけ、胸の痛みと後頭部の痛みのダブルパンチに悶絶し、フラフラと千鳥足で階段の手すりに捕まろうとしたところ、いつの間にやら落としたエナジードリンクの缶を踏みつけ、側頭部を黄色の点字ブロックに叩きつけた。

 あまりの痛みに吐き気を催し、痛みの許容量が限界に達したところで俺の意識はどこか遠くの彼方へ飛んで行った。

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