表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/83

5 着替え

香住と正哉の後を追うように教室に入る


「あれ、瑞樹? もう腹の具合大丈夫なのか?」

「え!?」


「いや、食中毒で運ばれたって聞いたからさ……」


「おい違うだろ、瑞樹は盲腸で手術じゃなかったか?」


「えー俺は、食べ放題で食べ過ぎて病院に運ばれたって聞いたぜ」

そんなに食い意地は張ってません!


何故か、僕の病欠理由が錯綜(さくそう)していた



香住……僕の休みの理由、何話したんだろ


「よーし皆席につけー」

先生が教室に入ってくる


「おお、瑞樹も居るのか、お前腰痛で動けないって聞いたが大丈夫か?」

それも違いますから


とは言え、『女の子にされて休みました』なんて言えるわけもなく

もう、それでいいです

否定せずに、各々の見解に任せることにした。



そして、問題にぶち当たる


1時限目 『体力測定』

もちろん、制服は脱いで、ジャージに着替えることになるのだが

更衣室……どうしよう……


香住にどうしようとアイコンタクトを送る……が


香住も困った顔で見ている


「千尋、さっさと行こうぜ」

そんな他人の気持ちも知らないで、正哉が行くぞと急かす


絶体絶命


いきなりバレるのか?


正哉に、押しきられるまま、更衣室前まで連れていかれるが

男子更衣室前で、ドアノブに手を掛けて固まる


「おい、千尋? どうしたんだ?」

「ご、ごめん、お腹の調子が悪くてさ、トイレに行ってくる」

「あぁ、そうか食中毒って話が本当だったのか?」

「そうなんだ、だから先に行っててよ」

「わかった、本当に独りで大丈夫か?」

「うん、酷いようなら、保健室いくからさ」


遅くなるようなら、言っておいてやるからなー

と気を使ってくれる友人を余所に


わかったーと走るように更衣室前から離れる

でも、どうしよう


着替える処あるかな


校内を歩き、屋上へ通じる階段を見付ける

そうだ!屋上への出入口手前の踊場で着替えよう

あそこなら、昼休み以外誰も来ないもの


そう思い付き、階段を上がって行くと

長い黒髪の女生徒が降りてくる

リボンの色が青なので上級生だ



この学園では、男子はネクタイ、女子はリボンの色で学年が分かる

赤が1年、青が2年、緑が3年と言う具合に決まっている



「もう授業が始まるわよ」

と、こんな処に何しに来たの? 戻りなさいと言わんばかりに睨まれる

それはそうだ

この階段の先は、屋上しか無いのに、始業直前に上がって行くなんて、サボろうとしてるようにしか見えないだろう


「あ、あの……これは」

説明に困っていると

そんな事気にせずに降りていってしまう


数段下った処で

「あなた……変わった身体なのね……」

そう一言だけ言うと、振り返らずにそのまま降りていってしまう


え?

今のなに?

僕の身体のこと知っていた!?


そこでチャイムが鳴り響く


「マズイ、1時限目始まっちゃう」


急いで踊場で着替え、校庭に向かうのだった




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ