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32 続く花嫁修業

結局、婆ちゃんは何処かに雲隠れして、昼食に出て来こなかった

そんな事だろうと思ったけど


カレーが余ってしまうと思ったら、龍神が気に入ったらしく、お代わりして行った

美味しいものね。

ネットでも、男性の好きな食べ物上位にランクしてるし

龍の胃袋もガッチリ掴んで行ったようだ。



しかし、男に戻るなら花嫁修業なんてしなくて良いのでは?

そう考えてみたものの

料理スキルも、掃除洗濯スキルも、持っていても損では無いし

何時までも、香住に頼ってばかりも居られない

龍の加護は無くなっても、神社は残るのだから

将来は、神社の神主として、継いで行く事に成るだろう

僕が、しっかりして行かなくちゃ



でも、そうか…男に戻るのか…

最近、せっかく良い仲になった香住と上手く行けたら…

そう思う反面、失望させたら?

それが怖くて、本当に男に戻っちゃったらどうしようと

臆病な自分も居て…

だって、今なら女の子の身体だからと言い訳できるのに

戻れば、男としてはっきり気持ちを伝えなきゃならない


僕って本当にダメだな

これが、せめて正哉のように身長が高くてスポーツ万能で男らしければ自信も持てただろう

でも僕の場合、戻ったところで女顔で声高くて身長160って…

胸が引っ込んで、背がちょっと戻るだけで、今と余り変わらないし


あー、ウジウジ悩んでる自分も嫌いなんだが

身体のコンプレックスがある限り、どうしても恋愛関係にはマイナス思考になってしまう



普段アホな事言って(おど)けるのも

道化師(ピエロ)になっていれば、恋愛とは無関係で周りを笑わせて居られると思って…

でも

道化師(ピエロ)のショーも何時かは終わるんだよな

恋愛とちゃんと向き合ってこなかったツケが回って来てるんだと思う


男に戻った時

香住に、『付き合って欲しい』、そう言ったら

『うん』と言ってくれるだろうか…


そんな事を、洗い物をしている香住の背中を見ながら考えていると

「何よ?どうしたの?」

「あ、いや…本当に助かるよ、何時もありがとう」

「え?何?何か企んでる?何時もありがとう何て言わないのに…」

あ、凄い怪しんだ顔している

「いや、純粋に感謝の気持ちを述べただけだが」


「ふ~ん…お弁口使っても、エッチな本は処分しましたから」

「な!?お前…あの美術書を処分しただと?」

「何が美術書よ!ただのエロ本じゃない!」

「ちがーう!あれは美術書、疚しい心で見なければ美術書なの!」

「あんな猫耳少女の裸が美術書とか…あんた本物の美術家に殺されるわよ」


なんて事だ…

美術書なんだからとベッドの下でなく、堂々と机の上に並べて置いたのが裏目に出た

今日は日曜日だ

ゴミ収集車は来ないはず

「回収に行ってくる!」

「無理よ」

「いや、まだ集積場にあるだろ」

「無いわ、だってフリマアプリで売って、さっきカレー粉買うときに、コンビニで荷物だしてきちゃったし」


香住さん手際良すぎだろ

あぁ…

もう手に入らない物もあったのに

「こんな事なら、机の上に出して置くんじゃ無かった」

「え!?あんなエロ本、机の上にあったの?。私が見付けたのは、古新聞の脇に束ねてあったから…棄てるなら売った方が良いと思って」


は?

確かに、1度は棄てようとしてたけど、回収したはず

という事は…婆ちゃん…

おそらく、そうだろう…龍神はゴミの出し方なんて知らないし

酷い…男に戻った時の生き甲斐が無くなってしまった。


女の子になってる今は、使い道無いんで大丈夫だけど

戻ってから、絶対後悔して転げ廻るんだろうな


まあ、何処の誰が買ったかは知らないけど

買った人に大事に使われてくれ


その後、布団干したり掃除機掛けたりしてると夕方になったので

搬入された材料でミートソースを作り

パスタを茹でる


なんと言うか、僕ならミートソースを、缶詰めの出来物にしちゃうところだけど

自作するところは流石香住さんである

「はい、千尋と龍神様の分、お婆さんの分もあるけど、食べないようなら冷蔵庫に入れといてね」

「一緒に食べて行けば良いのに」

食べずに、帰ろうとしてるので声を掛けたが

「帰って、うちの親にも夕御飯作ってあげなきゃだから」

そう言うと香住は帰っていく

本当に凄い奴だ。

今日も、殆どやって貰らっちゃったし



香住を見送った後、ミートソーススパゲッティを持って龍神の元に行く

やっぱり、ハンバーグの時もそうだが、フォークより箸のが使いやすそうなので

箸を持ってってやる。

「へいお待ち!」

「何て言うか…こう…もう少し色気のある出し方出来ないのか?」

色気のある出し方ってどんなのだよ…

「馬鹿な事言ってないで、さっさと食え!」

「お前、『お待たせしましたご主人様』ぐらい言えないのかよ」

「僕が言うのもなんだが、本当にネットに毒され過ぎだぞ」


やっぱり、フォークは使いづらそうで、お箸で食べてる

スパゲッティなんかフォークのが楽だと思うけどな

その辺は、ずっと和食だけで箸ばかり使って来た龍神には逆なのだろう


「今夜も…学園に行くのか?」

龍神が、食べ終わって食器を片付けてる僕に言う

「うん、祓い屋が来る前に、説得してみる」

「気を付けろよ、祟り神に完全にのまれて居たら…お前の言葉も届か無いかも知れんぞ」

「その時は…まあ…成るように成るかな」


そう言って、食器を携え洞窟を出ていく


さて、上手く行くと良いな


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