24 甘い食後
「うお!何だこの白くて甘いの…餡とはまた違うな」
買ってきてやった、コンビニスイーツに舌鼓を打つ龍神
「それはクリームだ、どうだ美味いだろ」
やっぱり和風モノしか食べたことが無かったらしく、クリームロールケーキなど洋菓子を珍しそうに口に運んでは感嘆の声をあげる。
なんか、1つ数百円のスイーツでここまで喜ばれると、可愛いものである。
まあ、最近のコンビニスイーツは、コンビニとバカに出来ないほど美味くなってるから。
そりゃあ、一流の数時間並ばないと入れない、人気店とは比べられないけど
この値段でこの味なら、中々のものである。
「本当に企業努力の賜物だよなぁ」
そう言いながら龍神にお茶を入れてやる。
「ああ、人間の美味いものへの追究は凄まじいモノがあるな」
クリームを口の回りにつけながら食べる姿は子供みたいで、つい笑みが溢れてしまう
「ほら、口の回りベトベトだぞ」
そう言って、クリームを拭ってやる
なんか、何時もの大人な龍神とのギャップが有りすぎて、見ていて楽しくてしょうがない。
そんな時、龍神が僕の持つマグカップに興味が行く
「お前の飲んでるソレ、その黒いのなんだ?」
「ああ、これか?これは珈琲だ」
「こーひー?」
「うん、洋菓子にはこっちのが合うかと思ってさ」
「じゃあ俺もソレにしてくれ」
「良いけど…苦いぞ、大丈夫か?」
「かまわん、お前に飲めて俺に飲めない筈がなかろう」
本当に大丈夫かな…
わざわざ、飲み馴れた緑茶にしてやったのに、いきなり珈琲とか大丈夫なのか?
まあ、薄めに入れてやるか…
紅茶があれば紅茶のが良いのだろうけど、元々婆ちゃんが緑茶しか飲まないので、紅茶を買い置きしてもカビらせてしまい勿体無いのだ。
なので紅茶を買うとしてもペットボトルになってしまう
今回、珈琲は洋菓子と一緒にスティックタイプの飲み切りを買ってきたので
龍神には、スティック3分の1ぐらい残して薄めで入れてやる
「ほら、駄目そうならミルクと砂糖持ってきてやるから」
そう言って珈琲を渡してやる
暫くマグカップの珈琲を睨んでいたが
やがて、恐る恐る口をつける
「どう?」
「…う、うん、まあまあじゃないか?」
どう見ても、やせ我慢してる
「ほう、それじゃあ、この薄めるために残したヤツも入れてやろう」
「やめんか!あ、いや今回はこれで良い」
本当に素直じゃないな
5つほど見繕って買ってきたスイーツを、あっという間に平らげてしまう。
流石、甘いモノは別腹と言うところか
「どうだった?気に入ったのはあったか?」
「どれもこれも美味くて甲乙付けがたいな、『くりーむ』と言ったか、これだって白だけじゃなく黄色いのや黒いのがあって、それぞれ味も違うし」
「ああ、その黄色いのはカスタードクリームで黒いのはチョコレートクリームだな」
「そうその『ちょこ』とか言うのも、色が似ている餡みたいな味を想像したが、全然別物だった」
「ふふ、婆ちゃんにインターネット教わったんだろ?今度、僕が学園に行ってる間にでも、そのネットで色々見て回ると良い、それならこの神社の敷地から出れなくも、外の情報を見れるからな」
「それは便利だな」
「見るだけでなく注文もできるぞ」
「なぬ、本当か?」
「うん、早いものなら翌日に来る」
今度試してみるか…とか言ってる龍神に
「おい、Dドライブだけは開けるなよ」
と釘を指しておく
「Dドライブ?ああ、あの猫耳娘の…」
「わー開けるなっちゅうに!ここ、プライバシー無いのかよ」
「ふ、無いな」
お前らが言うな
まあパスワード設定しても婆ちゃんが開けるだろうから…
USBメモリにでも移して隠すか…
女の子になって使い道がなくなったのに、猫耳画像の心配をする千尋だった。