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23 胸の弊害

「い、今のは危なかった…」

神社境内からの、下りの石段で、手摺にしがみついて呟く。


まさか、自分の胸で足元が見えず、石段を踏み外し損ねるとは…

普段は、サラシでペタンコにしてるお陰で、普通に足元が見えていたから、すっかり失念していた。

懐中電灯があっても、胸が邪魔してて意味ないし


更に

悪い事に、胸が前方に飛び出した分、重心も前に移動しているため、転びやす(易)くなってるようだ。

胸に殺されそうになる男子学生なんて、超希少(スーパーレア)体験をしているのは僕だけだろう

嬉しくないが…


そっから先は、手摺に掴まりながらゆっくりと降りる

新撰組の階段落ちを、石段で再現したくないし


普段の何倍もの時間を掛け、下まで降りきる

この胸のせいで時間取られたわ、こんなに胸大きくする必要ないだろうに…

人の事『猫耳フェチ』言う前に、アイツ(龍神)だって『巨乳フェチ』じゃないか!


そう悪態をつきながら町へ向かうと、香住の家が目に入る

明日…どんな顔して会えば良いかな…

あのキスシーンが脳裏に蘇る

香住の唇…柔らかかったな…

あの時、何で抱き締めなかったんだろうと後悔もしている反面で

抱き締めてしまっていたら、この身体(女の子の身体)でなんと言えば良かったのかと困惑している自分もいる

絶対男に戻れるから、待っててくれ!…何て確証も無い無責任な事言えないし


あーヤメヤメ

これ以上は、負の思考迷路に嵌まってしまう。

明日の事は明日考えよう。


今は取り敢えずコンビニへ


既にコンビニの看板が見えているので、本当に神社から5~6分だ(胸さえ無ければ)



そんな時

電柱の影から、マスクにロングコート姿のオッサンが飛び出してくる。

どう見ても、物の怪じゃない

変態だ!


どうなってる?物の怪にまともに襲われてないし


散々、喰われるだの…僕を脅すだけ脅して置いて何だよ!

怒りが込み上げてくる


オッサンは、コートをガバッと開いて裸体を…愛棒を見せてくる


はぁ…

つい何日か前まで、僕にも付いていたモノだから

見せられても驚かないよ!触るのは無理だけど…


「もう行って良いですかね、余り遅くなってもアレなんで」

そう丸出しのオッサンに言うと、コンビニへ向かって歩きだす。

帰ったら、物の怪話で怖がらせた、龍神をぶん殴ってやる!

そう憤っていると

置いてきぼりのオッサンが、突然奇声をあげて追ってくる。


「え?うそ!?物の怪なんかより、よっぽど生身の人間のが怖いわあああ」

そう叫びながらコンビニへ走る

本来なら、相当速く走れるのに、胸がポンポン跳ねて邪魔でしょうがない

結局両腕で押さえながら走るので、上手く走れないでいる


それでもなんとか、捕まる前にコンビニに駆け込む

「すみません!変態が…」

そう言い掛けた処で、レジで支払いしている香住と目が合う

「千尋じゃない、どうしたのよ?」

「そ、それどころじゃないんだ!変態が大変な露出狂でオッサンだ!」

いや待て、何を言っているんだ落ち着け


慌てているので、要点が上手く伝えられない。

えっと…と考えを纏めていると

オッサンがコンビニに入ってくる

丸出しで…


騒然となる店内

防犯カメラに映るのも(やぶさ)かではないらしい。

慌てて110番通報する店員

だが、オッサンの狙いは…

やっぱり僕か(涙)


「ていうか、あんた見せるもん見せたんだから帰れよ!」

これ以上何をするんだ…


オッサンは僕の手に

「財布落としたよ」

と載せてくれた

「あ、ありがとう…」

なんか…良い人だった…

露出狂だけど


その後、駆け付けた警察官に、オッサンは財布届けてくれただけと説明したが

露出狂は許されないとの事で、連行されていった。

僕も、巫女のコスプレで出歩くから、目立ってこう言う輩を惹き付けるんだと、お説教を頂いた

コスプレじゃないのに…


事情聴取が終わるのを待っててくれた香住が

「大丈夫?」

と声を掛けてくれた事の方が一番嬉しかった

だってキスの一件以来気まずくて話せなかったから


取り敢えず、龍神の好みを調べる為に、コンビニスイーツを買いに来た事や

それらを買いに来る途中で、露出狂のオッサンに会った事等を話した

「本当に千尋は、変な人に好かれるよね」

と呆れながら言う香住に

「僕も好きで好かれてる訳じゃないよ」

と、変人に好かれることは、否定出来ないでいた


帰り道、一度話し始めると普通に話せてる自分がいて

その点に関しては、切っ掛けをくれたオッサンに大感謝である


香住の家の前で

「明日、何時にしよっか?」

と切り出すと

「そうね…お昼に迎えに来てよ。で、昼食は千尋持ちね」

まあ料理教わる授業料だと思えば仕方ない

「わかった、お手柔らかに頼む」

「ふふ…じゃあ、おやすみ」

そう言って頬にキスをして家に入っていく

なんか、香住…急に積極的になった気がする


まあ、気まずかったのが解消できて、悩みが1つ減ったんだ良しとしよう。

そう気持ちを切り替えて帰ろうとするが

まだ、肝心のコンビニスイーツ買って無いのに気が付き


もう一度コンビニへ走るのだった。


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