22 龍神の好み
巫女服に着替え、何時もの供物を持って、龍神の洞窟を目指す。
「これも全部龍神のせいだ」
先程、秘蔵書が全部無駄になってしまったのを思いだし、悪態をつく
この身体になる前なら、重宝したのに…
嘆かわしい、実に嘆かわしい。
でも、まだ男に戻るのを諦めないぞ。
だって、他人の愛棒なんて触れないもの!
しかもピーーするなんて…
ムリムリムリムリ、絶対無理!
できるわけないだろう!
やっぱり、完全に女化する前に男に戻らなきゃ
男に戻ることを考えると、秘蔵書を棄てたのは早計だったかも知れない。
もう手に入らない本もあったんだよなぁ
それを考えると、今はエロ本として使えなくも、手放すのが惜しい気がしてきた。
そうだ!エロ本としてではなく『美術書』として保管すれば良いのでは…
美術品にも裸を題材したモノは沢山ある
だから、あの本だって、多少…猫耳が生えてはいるが、美術書だと言い張れば言い逃れ出来るかも…
よし!帰りに回収しておこう。
龍神の住まう洞窟に入り、供物を乱暴に置いて
「ほら、持ってきてやったぞ、3度拝んで食べろよ」
と言い放つ。
前も言ったが、何故かコイツに対しては、どうしても言葉が辛辣になってしまう。
「なんだ、そこは『お前の為に持ってきたんじゃ無いんだから!』と言うのではないのか?」
「どこでそんな事覚えてくるんだよ…」
「お前の部屋の『ぱそこん』って奴を、和枝が使えるようにしてくれたんだ」
婆ちゃん…パスワードどうやって解いたんだよ…
「っていうか、他人のパソコンでインターネットしてんじゃねーよ!」
「なんか、猫の耳した娘がいっぱい出てきたぞ、ああ言うのが良いのか?」
ヤメテ…
もう本当にヤメテください龍神様
簡単に屈服させられた。
何時ものように、龍神と供物を一緒に食べる。
「なあ、龍神はさ何か好物ってあるの?」
一応、香住に聞いて置くよう宿題を出されていたので、聞いてみる
「ん?好物?特に好き嫌いは無いが?」
「いや、好き嫌いでなく、特にこれは美味しかった、っとか言うのが無いのかなって…」
「そうだな…無いな」
「無いのかよ」
「そもそも、人間が供えに持って来るものしか食ったこと無いからな、この神社の敷地から出れんし」
そうか、コイツずっとこの狭い敷地から出れないのか…
僕なんかより、ずっと長く生きてるのに
なんか…悲しいな
「じゃあさ、甘いものとかどうよ」
「栗の甘露煮とかか?悪くはないな」
「いや、洋菓子とか…」
「ヨーガシ?美味いのか?」
んー説明できん
兎に角、食べさせてみないと、どれが好みなのか解らないからな
「よし、ちょっと待ってろ、僕がコンビニで幾つか買ってくるから」
「おい、もう夜だし外は…」
「大丈夫!直ぐそこのコンビニだから!」
そう言って財布だけ持ち、着の身着のままでコンビニへ出掛けるのだった。




