17 特訓の前に
翌朝、恒例と成りつつある地獄のサラシ固めが終わった後
本当に、角が見えていないのか不安になって香住に聞いてみる
「え?頭の上?別に何も…無いと思うけど…」
頭を持たれて、クリクリ動かされながら確認される
あ、やば
僕がペタンと座ってる処に、前屈みで頭をいじられて居るのだが
香住の胸の谷間が見えていて、すっごい気まずいんですけど
女の子にされる前なら、下半身がヤバかったのだが
今は、なんと言うか…ずっと賢者タイムなので、性的興奮は全然なく
逆に胸チラを指摘して、叩かれる未来の方を心配をしてしまう。
そもそも、香住と付き合いが長すぎて、家族みたいな感覚で性的な目で見れないし
「胸チラされても、僕の方があるものなぁ…」
頭を弄ってた香住の手が止まる。
なんか…胸を見ていた事が、うっかり口から出てしまった。
僕の頭を持った手に力が籠る
「あのー香住さん?僕の頭割れそ…痛…イタタタタタ…」
メキメキと音を立てながら、香住の指が食い込んでいく
「誰かさんは、胸にばかり栄養が行っていて、頭に栄養が足りてないようね」
胸チラの方じゃなく、大きさの方だった。
「待て!香住、話し合おうじゃないか」
力を入れてた指が止まる
「遺言を聞いてあげる」
「大きくても肩が凝るだけで良いこと無いぞ」
「ふ…そんな台詞、一回で良いから言ってみたいわ」
なんか、怒りが一気に冷めて、意気消沈していた
浮き沈みの激しい奴だ。
お陰で助かったけど
神社の石段を降り、何時もの通学路に出る。
「なあ、明日料理教わる約束だったけど、何か必要な物ある?用意しとくけど」
「んー、別に材料買い出しに出るから、必要な物はそこで買えば良いし…」
「香住先生、どんな献立で行くんですか?」
「え!?ちょっと、龍神様の好みとか聞いてないの?」
好み?
そう言えば、アイツ何が好みなんだろう…
普段、僕の事の話ばかりで、アイツの事全然話そうとしないから
取り敢えず、出した物は全部食べてるから、嫌いなものは無いと思う
んーっと唸っていると
「じゃあ、明日までに龍神様の好みを聞き出して置くこと」
解った?
と香住先生から宿題を出されてしまう。
「オッス!何の話してんの?」
良いところで正哉が現れたんで
「ヨッス、正哉はどんなの食べ物が好きなの?」
と参考までに聞いてみた
「え?俺?そうだなぁ…ハンバーグとかラーメン…あ、カレーも良いな」
ほう…
ウチは神社なせいか、どうしても和風物が多くなる
香住が料理作りに来てくれないと、食卓が醤油色のものばかりになるので
他人の家の献立とか聞くのが面白い
「成る程、良く定番で出る、肉じゃがとかどうよ?」
「肉じゃがかぁ、肉多目ならアリだな」
結局肉か
まあ、僕も肉とか嫌いじゃ無いけど
なんか、ゴテゴテっとしたものが食べたいと思わなくなったなぁ
女体化のせいか、龍神化のせいかは解らんが、味覚は変わった
ちょっと不思議な気分だ




