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16 龍の角

放課後

やっと小鳥遊先輩の魔の手から解放され

正哉と一緒に帰路に向かう

先輩と帰る方向が逆方向で本当に助かった。


「千尋、本当に災難だったな」

「まったく酷い目に遭った…」

正直疲れきって早く休みたかった


「なあ、知ってるか?小鳥遊先輩な…まだ下に妹居るぞ、たぶん…」

「な!?あの人の妹だって!?」

想像できん。


「いやな、ウチの妹の友人に小鳥遊って居るんだよ。何度かウチに遊びに連れてきてな、顔がそっくりなんで思い出した」

「おいおい、紗香ちゃん大丈夫か?」

押し倒されたりしてないか心配になる

「千尋じゃ無いんだから、大丈夫だろ」

そうか、別に女子(同性)が好きなわけでなく、僕の初めて(龍の巫女の処女)が欲しいだけだった


「あれ?確か紗香ちゃん来年受験だよな…」

「そうだな、うちの学園受験するって言ってたぞ」

と言うことは…ひょっとしたら先輩の妹もウチの学園に…

来年は、先輩だけでも手に負えないのに、妹さんまで…


それを考えただけで頭がクラクラする

「おっと、大丈夫か?」

「いや、ちょっと眩暈が…」

「まあ、今日のところはゆっくり休め」

そう言ってくれた正哉と、神社への石段前で別れる


さて、今夜のお勤め終われば寝れるんだ

頑張ろう

巫女服に着替え、龍神への供物を用意する


さて、物の怪の事は何とかなると、心配していた龍神に話さねば

龍神の処へ行き

祓い屋の小鳥遊先輩の事を話す。

「だから、もう物の怪は大丈夫だってば」

そう言ったのだが、どうも面白くなさそうだ

「ふん、その娘…お前の処女を狙って居るのだろ」

「そ、そうだけど…」

「ふざけるな、これ(処女)は俺のもんだ!」

「お前のもんでもねーよ」

抱き寄せようとする龍神の頬に右ストレートをお見舞いする

「痛いではないか」

「僕の身体なんだから、僕のもんに決まってるだろ」


「ふん、そう強気で居られるのか?」

またニヤケたムカツク顔をする

「お前…角が伸びてきてるぞ」

「!?」

慌てて頭に手をやると

確かに、小さいながらも角が出てきていた

「そんな!前はちょっと膨らみがあっただけなのに…」

「まあ、まだまだ完全に伸びるまで、もう少し掛かりそうではあるな」


なんて事だ、全然気が付かなかった。

というか

小さいとはいえ、角生えてたら学園行けないじゃないか!

どうすんだ…帽子でも被って登校か?

いや、授業中は帽子取らなきゃならないし…

もしかして詰んだ?


「こうなったら、ノコギリで切る」

立ち上がってノコギリを探しにいこうとすると

「戯け!そんなモノで、龍の角が切れるわけなかろう」

「じゃあ、どうするんだよ、登校出来ないじゃん」

「何を言っている、角は霊力の無い人間には見えんから大丈夫だぞ。おそらく、人間で見えるのは、その祓い屋とそれに近い霊力の持ち主ぐらいだろ」

マジか

それなら今まで通り何とかなりそうだ

「だが気を付けろよ、お前自身の龍の力も上がってるんで、物の怪が誘われて寄ってくるのも増えるからな」

つまり、波乱万丈な日常が続くと言うわけですね


「はぁ…」

大きなため息をつき

何日か前の、普通の日常を懐かしく思い、主屋に戻るのだった。


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