11 龍の身体は宝
はぁ…凄い破壊力の罠だった(精神的に)
女子の学制服を畳んで仕舞う。
何で着たんだろう…と今更後悔するも遅く
婆ちゃんの罠にまんまと嵌まった自分を恥じ入る。
巫女服だって女子の服なのだが
此方は、小さい頃から神社住まいで見馴れているせいもあり、余り抵抗はない
ただ、やっぱりスカートって言うのが、男子にとって踏み込めない領域なので
募る興味に負けてしまった。
巫女服に着替え龍神の元へ向かう
いつも、大人しく洞窟に居るのかと思うと、いつの間にか主屋の方へ来てる
それも、見られたくない時を見計らったように
「ほら、供物を持ってきたぞ」
あんなの見られた後なので、どうしても言葉が刺々しくなってしまう
「なんだ、もう脱いでしまったのか?あの姿の方が新鮮で良かったのに」
態々ニヤケながら逆撫でするように言い放つ
この嫌味龍神め
「巫女服以外で此処に入ったら婆ちゃんに叱られるから」
「なんだ、和枝の叱責が怖いのか?だったら俺がさっきの服で入るように言ってやろうか?」
このバカ龍は何処までも意地の悪い…
「そんな事をしたら、もう2度と供物持ってこないからな」
「ふふ、冗談だ。嫁の怒った顔も可愛いのでな、つい意地悪したくなった」
「な!?」
ムカツク!
コイツに遊ばれるなんて…
否
落ち着け
此処はコイツのペースに乗せられちゃ駄目だ。
「さっさと食べちゃってください、空膳下げなきゃならないので」
そう落ち着きを払って言うのだが
「なんだ、食べさせてくれないのか?」
「ば、馬鹿!そんな事…自分で食べろ!」
そんな僕の慌てる様子を見て笑う
く、直ぐにアイツのペースに乗せられてしまう自分が情けない。
本当にムカツク
何時か、絶対逆におちょくり返してやる。
「そう言えば、龍神は僕の学園まで監視してるのか?」
「ん?なんでだ?」
「いや、今朝カラスがじーっと此方見てたからさ、あれ龍神の使い魔か何かなのかなって…」
それを聞いて龍神の目が鋭くなる
「そのカラスは目がうっすら赤く光って無かったか?」
「んー、光ってたかも?遠くて良く解んないけど、光ってた気はする」
「おい、明日からここを出るな、少なくとも神社の敷地から出るんじゃない!」
「え!?」
「お前は危機感が無さすぎる!龍の身体って言うのは、それこそ宝の宝庫なんだ!」
龍神の話では
龍の肝や血は不老不死の霊薬になるし、爪ひとつでも万能薬の材料に成りうるので、人間達にしてみれば宝そのもの、喉から手が出るほど欲しがるとのこと
更に、その龍の身体を狙うのは、人間だけでなく妖怪達も同じで
妖怪が龍の血肉を食べれば、一気に妖力を上げる事が出来る為、妖怪等や物の怪にも大人気なんだそうだ
「普通なら、龍に勝てるものなんて、同じ龍か神族位なんで心配はないんだが、お前はまだ龍の力を上手く使いきれない」
制御に必要な角もないしと言っていた。
「だから、此処に居ろ!そうすれば俺が守ってやれるから」
何て事だ…
あのカラスは物の怪の類いだったのか…
でも、せっかく学園生活が、誤魔化しながら何とか成りそうって時に
また難問が出てしまった。
はぁ、誰か退治してくれないかな…
此方は、バトル小説には成りません