表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんで俺が、メイド科に!?  作者: LOVE坂 ひむな
第一章 学園の巻
1/42

プロローグ

 魔術師ダトゥヤールは最強である。


 誰が一番強いのかという話題はいつも人を惹きつける。人はあるいは【裁き手】ベラトーレムこそ最強だと言い、あるいは【竹取り】のトーレフより強い者はいないと言う。しかし【裁き手】も【竹取り】も【月を見る人】も【冬】も【魔法使い】も、ダトゥヤールに比べれば子供同然である。


 ダトゥヤールは特に有名な人物ではない。高地の小さな村で地面を耕しつつパン屋を営んでいる。彼のことを知るのは村の外にはほとんどいない。村の中でも、「パン屋のダトゥヤールお兄ちゃん」が本当に並外れて誰よりも強いということは誰も知らない。


 そのダトゥヤールであるが、その日は熱心に何冊もの本を読んでいた。彼が本に熱中するのは珍しいことではない。しかし今回読んでいるそれは魔術や武術の研究書ではなく、冒険小説だった。


「——良いな。俺も冒険がしたい」


 これまで冒険とか旅とかを志したことがなかった訳ではない。だが彼の強さの前には冒すべき危険というものがなかった。遠見をはじめとする究極の魔術の数々があれば、手足を動かすことなく、人々を脅かす恐ろしい怪物を仕留めることができるし、悪人の企てるおぞましい計画を未然に叩き潰すこともできる。


 また彼は強さというものに対して思うところがあった。こうして小さな村で暮らしているのも、できるだけ力を振るわずにすむようにだ。世間で暮らしていれば、どれだけ平和に生きようとしても、降りかかる火の粉は払わなければならない。また困っている人を容易に助けることができるというとき、良心の声に耳を貸さない訳にはいかない。


「ちょっと強くなりすぎてしまったかな——」


 上達が楽しいからという理由でやっていたのだが、力をつけすぎたかもしれない。


「生まれ直すか」


 読んだ物語の中にちょうど、平和に暮らしていた主人公が生まれ変わって冒険に身を投じていくというものがあった。転生という霊的自然現象を人為的に起こし来世に記憶を持ち越す程度の魔術を発動させるのは、ダトゥヤールにとって卵を割るくらい簡単なことである。鍛えた魔力などを持ち越すとなるとかなり骨が折れるが、ここではそれは不要である。力を持ち越さないことをこそ望んでいるのだ。


 そうと決まれば村人や数少ない村の外の知り合いに遺言を遺し、転生の術式を起動した。待ってろ、冒険の世界!


***************

次回のメイド!!!!!


 職能判定の鏡の前に立つと、鏡の中のダトゥヤール、現世ではヒシュマーシュ家ヨリナ分家四男ミコトの姿が変わり——侍女(メイド)服姿になった。


「——は?」 


『この者ミコト・ヨリナ・ヒシュマーシュの天職は、侍女騎士<メイドナイト>』


「——は??」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ