見た目だけはな
都内にある某マンションの406号室
それが私の家
そしてそれを挟む405号室と407号室の内の住人の一人がそれぞれ私と全く同じタイミングで家を出て全く同じタイミングで声を揃えた
まず405号室から出てきた
「ちょっと〜!毎回言ってるけど〜、ルナと被らないでよ〜!なぁに、2人とも、ルナの事大好きなのは分かったからいい加減にしてくんない??」
このかわいくもイラッとする真田 月
マロン色のストレートで腰にまで届く長い髪
同じ制服のはずなのにルナが着ているだけでただの制服がただの読モの衣装に変わるというミラクル
スラッとしてる上に身長も高い
女の私から見ても非の打ちどころがない完璧な女の子
見た目だけはな
「今日も完璧だねルナ」
「当たり前でしょー?!完璧じゃないルナなんて存在しないんだから」
「はいはい、存じてますよ」
「なぁに〜?トモの分際でルナを軽くあしらうつもり〜?吊しちゃうよ??」
「見た目の可愛さと口の悪さが反比例してるぞ」
「ギャップ萌えに決まってるでしょ〜?」
自分で言うなよ!!
「それで?下僕1号はまた朝から自分の世界切り開いてるわけ〜?」
退屈そうに自分の髪をクルクルと指に巻き付けて遊びながらどうでも良さそうに聞いてくる月
ていうか実際どうでもいいんだろう
そして他にも気になったことが一つ
下僕1号ってなんだ
その言い方じゃ2号とか3号とかもいるみたいじゃん
…おい、それまさか私じゃないだろうな…!!?
問い詰めてやりたかったけどよくよく考えたら私が口でルナに勝てるはずもないし
何より私がそんな事を考えている間にルナはそのスカートから伸びる細い足を容赦なく振り上げて下僕1号、忍に見事な蹴りを入れていたからだ
見慣れた場面だとしても、その直後に自ら墓穴を掘りに行くような程私は馬鹿ではない