第3話 興味
「それでは、西の森いえ、西の国へ向かいましょう。」
クローディアに促されるまま、エディンは彼女と西の国を目指した。
途中野宿をしたりする中、彼女と話すうち
エディンは魔女という存在ではなく、彼女自身に興味を示した。
彼女は事あるごとにノアのことを話に出す。
けれど、王国騎士隊長であるエディンでさえ、ノアの存在は書物で読んだ程度にしか知らない。
そして、その書物で語られている人物と彼女の語るノアは別人に思えた。
「クローディア殿は何故、そんなにもノア殿のことが好きなのだ?」
「何故・・・・・・ですか。」
クローディアは少し困ったような表情をした。
ノアのことになると、彼女の表情はころころ変わって面白い。とエディンは思っていた。
「エディン様はどうしようもなく憧れてしまった人が居たことはありますか?」
「おります。」
彼女の問いにエディンは意図がつかめなかったが、正直に答えた。
エディンがどうしようもなく憧れた存在。
それは、始祖の3神の一人で、自身の名前の由来となったエディールだろう。
エディールは武の神で性格は豪快だったが、その強さは戦う心得のある者なら女であろうと憧れる存在だ。
「なら、お分かりいただけると思います。いつかその人に追いつきたい。その人のようになりたい。私の場合はそれがノア先生だっただけです。」
「なるほど、お気持ちはよくわかりました。が、私はノア殿がどんな人物なのか書物の情報でしか存じ上げない。」
「そうですよね。先生の凄さとかどう伝えればよいのか私でもわかりません。」
とクローディアは落ち込んだように笑った。
西の森に着いたのはそんな会話をしながら、歩き続け6日目の朝だった。