水のおと
彼は無音の世界に棲んでいる。
預言者の到来を只管待ち。
ただ虚空を見詰め。
街は眠る事なく、騒々しくて。
頭に血を昇らせ叫び声をアゲル者、力の限り暴れる者…
雑踏の隅で、彼は宙を見るだけで。
増々暴力は度を過ぎ殺人沙汰に変わりゆく。
狂乱し轟き陵辱し破壊し果てには金切り声…
長々とした夜の馬鹿騒ぎ。
夜が明けるたった一瞬、ようやく静まり帰って世界がふっと軽くなり。
辺りは包まれる、穏やかな甘美な幻想に…
暁。
世界に喧騒の周回が舞い戻る。
否。
フレア…
滅亡を喚ぶ太陽の氾濫だ。
降り立って炎、酒池肉林の残滓導火線にして世界、余す所なく燃え尽くされてカウントダウン。
彼ひとり預言者の光我物として…
力一杯にシンバルを叩き付けた!
古池や、蛙飛び込む水の音…松尾芭蕉の名句をイメージした作品です。
企画は毎回勉強になります。
意外と書くの早かった。