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18話 生まれ変わった女神教

俺たちは、崩れてしまった、神殿跡を訪れた。

そこには、新しく教皇となったライアスが必死の救命活動をしている。

頑張っているな。

流石は、出来るイケメン。

有能すぎる。

そして、こっちに気づいたようで、やさしく手を振っていた。

俺たちもそのままゆっくりとライアスのもとへ駆けつける。


「ルビア様。カズキ様。この恩は、忘れません。二度と、このような過ちを犯さないように、僕は、神聖セリア教国を解散させようと思います」

「えっ? 国を解散させるのか?」

「はい。……そもそも、この神聖セリア教国の国土は、非常に小さい。他国からの物資が無ければ、とても保つ事が出来なかった」

「今は、その国を保つ余裕がすっかりと無くなったって事ね!」

「そうです。既に聖地は、ドラゴンによって滅ぼされたようなモノですからね。僕は、また、一から、女神教を立て直さなければならない」


そう決意した表情で語っている、若き教皇。

俺たちの活躍でも、ドラゴンから街を守る事は、出来なかった。

決定打となったのが、あの最後に浴びてしまった、炎のブレス。

あの広範囲にわたって、炎の海となってしまった事で、沢山の犠牲者が出てしまった。

俺がもっと強かったら、その犠牲者も救えたのかな?

まあ、そもそも、ルビアが暴走しなければ、こんな事にはならなかったんだけどな

キンゲル教皇は、ここまで酷い惨劇を引き起こすほどに、女神の逆鱗に触れてしまったのだろう。

とことん腐りきっている連中だぜ。

まあ、その腐った連中は、ルビアによって、殺されてしまった。

当分は、女神教も大丈夫だろう。



「頼むぜ、ライアス。お前の新しく生まれ変わった女神教が、今までとは違う事を、未来永劫に語り告げられるように、がんばってくれよな!」

「任せてくれ。僕は、新しい女神教を世界各地へ広める。今までの腐敗した女神教とは違う……世界に認められるような女神様へ僕は、変えてみせる!」

「貴方ならやり遂げられるわ!あんな汚物だらけの偽物とは違う。 なんたって、私が公認の宗教なんだから!」


ルビアは、ライアスに、そう肩をポンっと叩き、強く激励させる。

女神公認か。

キンゲル教皇から以前は、女神公認ではなく、勝手に女神教を広めたって事だよな。

初代は、かなり昔の頃だったらしいし。

女神の存在は、古の時代から、この世界に知られていた事になる。

となると……この女神様は、その長い空白期間の間は、いったい何をしていたんだ?

まさか、サボっていたわけじゃないよな……

ルビアならあり得えそうなのが、怖いところだぜ。


「君たちは、これから何処へ向かうのだ?」

「俺たちは、魔族退治をしているコンビだぜ。魔族が居る場所なら、何処へだって駆けつける!」

「そうよ! 未だに汚物を消毒出来たのは、たった数匹……まだまだ暴れ足りないわ!」

「そうか、当分は、この神殿を立て直さないといけないので、僕では、支援するのは難しい。だけどいつか、また訪れる機会があれば、ここに訪れに来てくれ。その時は、きっと、支援すると、約束するよ」

「ふーん、まあ、ほんのちょっとだけ、期待させてもらうわ!」


長い会話は終わり。

別れのあいさつを済ませた俺たちは、また旅へと出発する。

魔族は、まだたくさん潜んでいる。

まだまだ、俺たちの救援を欲している人は、沢山いるだろう。

徐々にでは、あるが。

俺もやっと、勇者のような活躍が増えてきた。

今回だって……


「でも、今、考えれば、俺たちって、今回は、凄い茶番をしてしまったよな」

「何が茶番なのよ? 慈悲深い私が恐怖のドラゴンから救う為に駆けつけたおかげで、私たちは、英雄になれたじゃない!」


導火線に火をつけたのは、キンゲル教皇だっただろう。

そして爆弾が爆発してしまったのがルビア。

その爆発した被害を最小限にしたのも俺たちだ。

被害者は、ルビアが爆発させてしまった事を気づいていない。


「なあ、ルビアが召喚した暴れるドラゴンを俺たちが倒して、みんなから拝められるようになるのって、すげえマッチポンプだと思わねえ?」

「考えてみれば、そうなるわね……。こ、今回は、偶然そうなっただけなんだから、気にしちゃ駄目なんだからね!」


この慌てようだと、ルビアは、気づいてすらいなかったようだ。

まさしく天然である。

恐るべき女神様だ。

まあ、神は、いつだって気まぐれだ。

俺の世界各地に散らばっている宗教の神様も、いい加減な奴らばかりだ。

決して不思議な事ではない。

まあ、結果的に、腐敗した女神教を一掃できたんだから、結果オーライだよな!

うん、そう考えよう。



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