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17話 ドラゴン退治

俺は、ドラゴンが暴れている現場へとルビアと共に、急ぎながら駆けついている。

そして、ルビアが召喚したドラゴンの全貌の姿が、明らかとなっていく。


「アカン、あれは、無理ですわ」


300m程離れた距離に、体長60m以上はありそうな黒いドラゴンが次々と建物を破壊させていた。

まるで、怪獣映画のような惨状だ。

とてもじゃないが、ちっぽけな俺一人だけだじゃ足止めできないって!


「ファイトよ! カズキ! 貴方の戦いが、この街の命運を握っているのも過言ではないわ!」

「無茶言うなよ! あんな巨大生物相手とか、絶対に押しつぶされるって!」

「言いだしっぺは、カズキよ! 最後まで責任を持ちなさい!」

「ちくしょーーー! 」


そう言って俺は無謀にも、巨大なドラゴンへ攻撃を仕掛ける。

ルビアも射程圏内に入ったらしく、その場で動こうともしない。

詠唱を開始したようだ。

援護射撃も期待できない。

まさに命がけである。

ドラゴンは、俺にまだ気づいていいない。

ルビアに向く前に、俺へ注意をひきつけないと!

俺はドラゴンの足に接近して、強化魔術で腕を強化させて、一撃をお見舞いさせる。

そして、凄まじい衝撃音と共に、ドラゴンの足へ命中した。

――――だが、ドラゴンはまったく俺の攻撃にまったく反応していない。


「……全然きいてないじゃん」


ドラゴンのウロコを少しだけ傷つけただけで、ほぼ無傷。

いくらなんでも、的がデカすぎるんだよ!

そんな絶望しきった俺に、ドラゴンは、俺のほうへ目をギョロっと向き、睨みつけていた。

ヤバイ、俺にヘイトを溜めてしまったのは、明らかだ。

今まさに、俺の命がけの逃亡劇が幕を開けた。


「うひゃー!」


後ずさりしていた俺に、ドラゴンは、大きくしっぽを振って俺に襲い掛かる。

腕から、足へと強化魔術で強化させる場所を変更させて、俺は、ハエのようにスラスラと回避する。


今度は、尻尾と爪の同時攻撃だ。

建物を破壊しながら、何度も鋭い爪が俺に襲い掛かる。

それでも俺は、なんとかドラゴンの攻撃から回避をして、追撃が来る尻尾もなんとかスレスレの紙一重で避ける事に成功した。

一発でも当たれば、俺は、命がない。

故に、油断してはいけない。


ドラゴンの攻撃が止まる。

一体どうするつもりだ?


すると、ドラゴンは口を大きく俺のほうに開き、真っ赤に燃え盛る、炎を発射させようとしていた。


「ははは、ドラゴンならそりゃあ、ブレスは、あるわな」


回避は不可能。

ならばどうすればいい!

まて、俺の魔力抵抗は、天才的に強い筈だ!

この程度のブレスなんて、きっと大丈夫な筈!

……多分ね。


そして、燃え盛る炎が今まさに、俺に向けて発射された。


「何をボサっとしているのよ!」


俺の横には、ルビアが居た。

なんでルビアが駆けつけて来ているんだよ

足止めしていた意味がなくなるじゃん!


「おい、馬鹿! こんな至近距離のブレスを食らったら、お前も無事じゃすまないぞ!」

「馬鹿ね! 確かにあのブレスは、強力だわ! だけど、私の防御力は、それよりも強い!」


そう、自信満々に告げながら、ルビアは、魔術を唱える。

水だ。俺たちも周りに、分厚い水が出現されていた。


「熱に耐えられずに、蒸発したりしないよな?」

「私の水のベールは、そんな貧弱じゃないわよ!見てらっしゃい! このブレスの攻撃が終った後が、ドラゴンの最後よ!」


全く、頼もしい事を言ってくれるぜ。

ルビアは、いつだってそうだ。

弱気になる事が決してない、強い信念を持っている。

なら、俺もそれに信じるしかない。


「すげえ……本当に防いでやがる」


熱も感じない。

水は、沸騰もせずに、俺たちから、炎のブレスを守り切っていた。

だが、その周りは、大参事となっている。

もはや、炎の海だ。

真の勇者として覚醒する、そんな展開があれば、このブレスもなんとか出来たのか?

まあ、そんな、都合の良い展開は、期待しないほうがよさそうだ。

今、俺に出来る事をしなければならない。

多くの人命が救えないなら、少しでもその被害を減らすのも、勇者としての務めだろ!


「愚かなる召喚獣よ、私の結界の中へ招待してあげるわ!」


ルビアが両手に掲げた途端に、大きな魔法陣が出現する

それは、ドラゴンの周りに、四方八方から、隙間なく無数の魔法陣が出現されていた。

なんて数だ。

あれが全部、封印に必要な術式なのか?

魔法陣から、飛び出した無数の光の触手がドラゴンの動きを止める。

すっかりと雄叫びをあびては、いるものの

ドラゴンのブレスも止められてしまった。


「ジャッジメントよ!」


聖石らしき物体の三つ石が、ドラゴンの周りに、大きく光の膜を覆う。

気が付けば光の膜は解かれ、そこには大きな黒い岩のような塊だけが、空に浮き、衝撃音を伴いながら落下していた。

あれが、ドラゴンだった奴なのか?

すっかりと大きな黒い岩へ姿を変えてしまっている。


「……やったのか?」

「ええ。どうやら、封印はなんとか成功したわね。だけど、つねに聖石で、封印の効力を強めないと、直ぐに封印が解かれそうだわね……当分は、厳重に管理したほうがよさそうね。」


そう言って、三つの聖石をはめ込まれた巨大な岩に、さらなる結界を貼りこませて、侵入を拒むかのような結界を施した。

ふう……よかった。

無事にドラゴンは封印できようだ。

俺の足止めは無駄にならならなかって事だ。

本当によかったよ。


「うーん……これもラルアスが厳重に管理させたほうがよさそうね」

「そうだな」


そんな事を会話していた俺たちに、まだ、炎が焼け残っている中で、徐々に歓声が沸きあがる。

この街に住んでいた、信者たちだ。

彼らは、きっと、このドラゴンを封印した一部始終を見ていたのだろう。

恐怖の化け物は、倒された。

今……この信者達は、女神がお救いに降臨された人物へと映っただろう。

――そう。

今から始まるんだ。

本当の女神教が!


……たぶんね。



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