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不死身少年と死神少女  作者: YUKI
転校生と傍観少年
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プロローグ2 声の正体

お久しぶりです、YUKIです。

かなり間が開いてしまいましたが、ようやく第2章開始となりました。

長い間更新が停滞していたにもかかわらず閲覧してくださった方。

また、twitterの方で宣伝してくださった方。

本当にありがとうございました。

次の話は書きあがっているので近々次話投稿する予定です。

 夕焼けの光が路地を染める中、僕は立っていた。


 ここはどこだろう?と思い、歩き出そうとしたが足が動かなかった。


 それどころか、手も動かない。


 自分の体で動かすことが出来るのは眼球だけのようだ。


 辺りを見回してみる。視界に公園が入ってきた。


 滑り台、鉄棒、ブランコ、時計しかないとてもシンプルな公園だった。


 その公園に人影が見えた。数は1つ。


 少年は道路にへたりこんでいた。

 

 泣いているようだった。


 よく見ると少年のそばには2人の子供が倒れていた。


 少年と少女。


 彼らの体は夕日の光よりも紅い鮮血に染まっていた。


 顔は潰されており、誰なのかは分からない。

 

 「まだ、気づかないふりをするかい?」


 誰かがはっきりとそう言った。


 そうだ、僕はこの光景を知っている。


 忘れるはずが無い。


 これは”あの日”だ。


 大切なものを失くし、僕の・・・俺の償いが始まった日。


 「気づいたみたいだね。」


 その声が頭の中に響くのと同時に、少年が顔を上げた。


 少年は既に泣いてなかった。


 ただ無表情でこちらを見つめている。


 青葉「ああ、そうか。」


 現実でも夢の中でも自分に語りかけてきた声の正体。


 それはかつて自分が最も聞いたであろう声。


 青葉「お前は-------------------------


    ”俺”なんだな?」


 瞬間体は自由に動かせるようになった。


 その感触を確かめた後、再び青葉は前を見た。


 目の前にいる少年は笑っていた。


 そして、口を開く。


 少年「ようやく僕の声が君が声変わりする前、


    つまり”あの日”以前の自分自身のものだと気づいたんだね。」


 青葉「ああ、なぜ今まで気づかなかったんだろうな。」


 少年「そう不思議なことでもないんじゃない?


    自分の過去の声なんて、多分忘れていってしまうものなんだよ。」


 少年は特に気にもしない様子でそう言った。


 青葉「・・・聞きたいことがある。」


 少年「なんだい?」


 青葉「この夢を見せているのはお前か?」


 少年「うん、そうだよ。」


 青葉「目的は何だ?」


 青葉はどうしてもそのことが聞きたかった。


 青葉「俺にこの光景を忘れさせないようにするためか?」


 少年「いや、そういうわけではないよ。」


 少年は首を横に振って否定した。


 少年「この夢は君を追い込むために作られたわけじゃない。


    むしろ、君を救うために作ったものなんだ。」


 青葉「俺を救う・・・?」


 予想外の言葉に青葉は戸惑った。


 青葉「どういうことだ?」


 少年「もう既に知ってるように僕は”あの日”以前の君自身だ。


    言い換えるとすれば、君自身の意思によって生まれたもの。


    ということは、この夢を見ているのも君の意思と言えるんだよ。」


 青葉「俺の意思・・・だと?」


 青葉はさらに困惑した。


 青葉「じゃあ、俺は自分でも無意識のうちに救いを求めてたというのか?」


 少年「その通りだよ。


    君の意識の深層で、君は”あの日”からの救いを求めた。


    その救われたいという感情が君から僕を生み出し、


    そしてこの夢を作ったんだ。


    だけど、君はそれと同時にその救いを強く拒否しようとした。


    だからこの夢を見ても”あの日”の光景自体に


    気づかないふりをしていたんだ。


    僕の声に気づかなかったのもそのことが多少関係してると思うよ。


    何も分からなければ、救われることも無いからね。


    だけど今日、君はこの光景と僕の声に気づいた。


    君の意思も変化してきているんだよ。」


 青葉「そんなはずはない!


    俺は、俺は自分が許されてはいけないと分かっているはずだ。


    許されないまま生きていく決めたんだ。


    その覚悟は偽物なんかじゃない!!」


 青葉は叫んだ。


 少年「僕だってその覚悟を否定する気は無いよ。


    だけど、僕がここにいるのも事実だ。


    救われたいという感情も本物なんだよ。


    君はこの数日間久しぶりに、本当に久しぶりに人と交わった。


    友達だって出来た。


    もう・・・いいんだよ。


    あの日から君は約5年間自分を責め続けた。


    そして、これからもその孤独な戦いを続けようとしている。


    そんな必要は「黙れ!!」・・・!」


 少年が語りかけてくる言葉を青葉は無理やり遮った。


 青葉「そんなものは認めない。


    俺が無意識に救われたいと願ったなら、それより強く自分を罰する。


    それしか・・・俺にはそれしかないんだよ・・・。


    お前が本当に俺なら分かるだろう・・・?」


 最後のほうは搾り出すように青葉は言葉を発した。


 そんな姿を少年は悲しそうに見つめていた。


 青葉「だから、俺はこの夢から覚める。

  

    それが俺の意思だ。」


 少年「・・・まだ否定し続けるんだね。


    でもね、1つだけ言っておくよ。


    君はまたここに来る。


    僕には分かるんだよ。


    僕は君から生まれたものだから。」


 青葉は何も答えずただ、目を瞑っていた。


 そんな姿を、少年はさっきと同じように悲しそうな目でじっと見つめていた。


 そして青葉が目を開けたとき、


 景色は暗転した-----------------------------



感想等よろしくお願いします。

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