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不死身少年と死神少女  作者: YUKI
罪悪感と生神少女
18/32

ep17 浮かんだ映像

久々に月2回目の更新が出来ました。YUKIです。

もう8月も終盤ですね。

9月からはまた日常に戻る・・・欝だorz

新学期始まったらますます更新頻度落ちそうで心配だ・・・。

 リーダー「お前ら、全員自分の口座番号を言え。


      言わなければどうなるかは・・・分かるな?」


 人質全員の手が縄で結ばれたことを確認すると、


 リーダーの男は全員に向かってそう言った。


 先ほど実際に銃弾を発射したのを見ている人質達は、


 我先にと言わんばかりに口座番号を口にした。


 その間岡崎はずっと口を閉ざしていた。


 その様子に気づいた坊主が声を荒げる。


 坊主「おい、話聞いてなかったのか?


    口座番号を言えっつってんだよ!!」


 坊主の怒鳴り声に周りの人質たちが何人か体を震わせた。


 だが、岡崎は震えることなく坊主の顔を見てはっきりと言った。


 岡崎「・・・私が持っているお金は私自身のお金ではありません。


    みんなから預かっているお金です。


    あなた方には渡せません。」


 坊主「っ!!てめえ・・・」


 坊主が岡崎を殴ろうと振りかぶるが、リーダーがそれを制した。


 リーダー「・・・・・・・・・」


 彼は何も言わずに岡崎の近くまで歩いていった。


 岡崎もまたなにも言わなかった。


 リーダー「・・・・・・・・・」


 リーダーは黙って岡崎の頭に銃を押し付けた。


 岡崎「・・・!!」


 周りの人質たちが悲鳴をあげる。


 リーダー「・・・お前、この状況を理解しているか?


      それとも、まだ自分が死ぬはずが無いとか思っているのか?」


 そう言いながら安全装置を外す。


 かちゃりという音が鳴った。


 岡崎は全身の鳥肌が立っていることに気づいた。


 リーダー「だとすればそれは間違いだ。


      俺が引き金を引けばお前は死ぬ。


      泣いても、喚いても、叫んでも、お前は死ぬ。


      どんなに否定しようとしてもこれが現実だ。


      もう1度チャンスをやる。


      口座番号を言え。」


 静かに、冷たく、そう言い放った。


 その言葉と同じくらいに冷たい銃口が、


 頭によりいっそう押し付けられる。


 思わず、小さくヒッと声を出した。


 そのとき、岡崎の頭に走馬灯が走った。


 両親の笑顔、自分の部屋、クラスメートたちがいる教室。


 親友である橘由里と遊んでいる映像。


 彼女が苦しんでいる映像。


 それに対して、何も出来なかった自分。


 自分で自分を演じる姿。


 最後に頭に浮かんだのは、自分を助けてくれた少年の顔だった。


 めんどくさそうな顔をしながらも自分について来てくれた彼は、


 ひったくり犯に捕まった自分を助けようと必死だった彼は、


 深く心に残っていた。


 もう1度、彼に助けて欲しい。


 厚かましいなんてことはわかっている。

 

 それでも、彼に助けて欲しかった。


 岡崎「青っち・・・」


 リーダー「・・・なんだって?」


 岡崎の掠れた声はリーダーの耳には届かなかった。


 老人「お嬢ちゃん、早くしないとこいつらは本当に君を撃つぞ!」


 先ほど話していた老人の声で、岡崎はやっと現実に戻った。


 岡崎「・・・・・・言います。」


 リーダー「・・・・・・・・・」


 銃口は岡崎の頭から離れた。


 口座番号を口にしながら、岡崎は心の中で叫んだ。


 助けて、と-------


 










 青葉「はっ・・・はっ・・・着いた・・・か。」


 1度も休憩することなく走り続けたため、


 青葉は息を切らしながら言葉を発した。


 横を見ると、一緒に来た綾川と橘も自分と同じように息を切らしていた。


 銀行の周りには既に多くの人だかりが出来ていた。


 数多くの野次馬。


 銀行に近づこうとする者。


 そんな危険な行為を止めようとする刑事。


 銀行から追い出されたのか、戦々恐々といった風に銀行を見つめる者。


 そんな人から事情を聴こうとする刑事。


 人ごみの中、青葉はある人物を探していた。


 そして・・・探していた人が、いた。


 青葉「来栖さん!」


 来栖「!青葉くん・・・どうしてここに?


    それに横にいる2人は誰だい?」


 青葉の知り合いにして警視庁刑事部部長である


 来栖英俊は少しだけ動揺を見せながら尋ねた。


 青葉「この2人は・・・ちょっとした知り合いです。


    それより来栖さん。


    この子から銀行強盗があったって聞いたんですけど、


    今、状況はどうなっているんですか?」


 ???「それは、君たちには関係の無いことだ。」


 青葉の言葉に返答したのは来栖ではなく、別の人物だった。


 綾川「あんた誰よ?」


 綾川は若干敵意を孕んだ声で尋ねた。


 ???「僕は警視庁警部補、竹田悟(たけださとる)


     この事件を来栖さんと共に指揮する立場の者だ。」


 竹田と名乗った男は来栖に比べて一回り以上若いような見た目だった。


 竹田「もう1度言う。事件の詳細は君たち一般人には関係の無いことだ。


    捜査の邪魔になるから帰ってもらえるかな。」


 青葉「それは・・・出来ません。」


 綾川と橘はその言葉にうなづいた。


 竹田「いや、君たちに拒否権は無いんだが・・・


    来栖さん、この少年たちはお知り合いなんですか?」


 来栖「ああ。・・・青葉くん、悪いがいくら君とはいえ


    巻き込むわけには「中に俺の友達がいるんです!」・・・何?」


 来栖の顔色が変わった。


 来栖「それはもしや“彼“のことか?」


 青葉「“彼“・・・いや、“あいつ“じゃないです。


     この間ひったくり犯を捕まえたときにいた奴です。」


 来栖「彼女が・・・友達・・・。」


 来栖は自らの言葉を復唱してつぶやいた。


 竹田「来栖さん?いったい何の話をしてるんですか?」


 竹田は痺れを切らしたように口を開いた。


 そのとき----若い警察官らしき人物が叫んだ。


 「来栖警部!竹田警部補!銀行内の電話がたった今繋がりました!!」


 その電話が、勝負開始の合図だった------------


感想等よろしくお願いします。

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