ep10 意外な知り合い
どもー、課題終了で命拾いしているYUKIです。
今日で春休みも終わり。
明日からはまた忙しくなりますねー。
ひったくりが倒れてから3分が過ぎようとしていた。
誰かが警察を呼んだのだろう。遠くの方からサイレンが聞こえてきた。
青葉は目の前の少女、岡崎あかりに声をかけた。
青葉「・・・もう落ち着いたか?」
岡崎「う、うん。・・・わわっ!!」
岡崎は慌てて青葉から離れた。
落ち着いたことにより自分が何をしていたのか理解したようだった。
岡崎「あっ違うよ!嫌とかじゃないんだよ!
ていうか実は嬉しかったり・・・
って言いたいのはそうじゃなくて、その・・・。」
顔を真っ赤にしながら岡崎は独り言のように呟いていた。
青葉「岡崎、わかったから落ち着け。」
ようやく恥ずかしさから開放されたというのに、
岡崎がこれではまた恥ずかしくなってしまう。
そう思った青葉はできるだけ平静を装いながら落ち着かせた。
岡崎「う、うん。ごめんね。」
岡崎はいまだに赤い顔を俯かせながら答えた。
???「少し話を聞かせてもらえるかな?」
そのとき近くで声が聞こえた。
青葉にとっては聞き覚えのある声。
青葉「来栖さん・・・!どうしてこんなところに?」
来栖「やあ、青葉くん。久しぶりだね。半年振りぐらいかな?」
青葉に声をかけたのは50代位の男性だった。
温和な感じがするがどことなく風格の漂うその姿はただの一般人には見えなかった。
岡崎「えっと・・・青っち・・・青葉くんとはお知り合いですか?」
岡崎は男性に尋ねた。
来栖「おっと、これは失敬。私の名前は来栖英俊。
警視庁刑事部部長だ。」
そう言って来栖は警察手帳を見せた。
岡崎「私は岡崎あかりといいます・・・って、警察の人!?しかも警部って・・・
青っちそんな偉い人と知り合いだったの?」
青葉「・・・昔色々あってな。」
青葉は遠い目をしながら言った。
岡崎は何があったのか問いただしたかったがやめておくことにした。
なぜやめてしまったのか自分でもよくわからなかったが、
なんとなく今聞くべきでは無いような気がしたのだった。
来栖「・・・青葉くん、君がひったくり犯を気絶させたのかい?」
青葉「ええ、そうです。」
来栖「君は少し行動力がありすぎだ。相手は刃物を持っていたんだぞ?
刺される可能性だってあったんだから、
時間を稼いで警察の到着を待つのも手だと思うぞ。
ま、彼女が人質にとられて動揺したのもわからなくはないがな。」
来栖はからかうように言った。
青葉「ちょ、来栖さん!何言ってるんですか。
俺たちはただ一緒に買い物をしてただけですよ。なあ岡崎?」
岡崎「・・・・・・・・・」
青葉「岡崎?」
岡崎「・・・えっ?・・・あ、そう・・・だね。」
岡崎はなぜかガッカリしたように言った。
何で岡崎がガッカリしているのか青葉には見当もつかなかった。
来栖「そうか、そうか。ま、なんにせよ気をつけてくれ。近頃この町も物騒なんだ。
何か大きな事件が起きる可能性だってあるんだからな。」
青葉・岡崎「はい。」
来栖からの忠告を受けた青葉と岡崎は帰宅するためその場を立ち去った。
来栖「岡崎あかり、か・・・。」
来栖は先ほど聞いた少女の名を復唱した。
思えば、青葉が同年代の誰かと一緒にいたことなどこの2,3年なかったはずだ。
青葉の態度からしてそこまで親しいわけではないだろう。
たとえそうだったとしても来栖は彼女に期待せざるを得なかった。
今の彼には傍にいる者が少なすぎる。
あのままでは彼は・・・
プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル
来栖の思考を切り裂くようにケータイの着信音が響いた。
また事件が起こったようだ。
来栖は少しため息をついた。
常に1つの事件を抱えるのは大変だな。
そんな思いを持ちながら、来栖は新たな事件の現場へと向かった。
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