『とある生徒会と現代魔術っ!?』――その9――
さてさて。いよいよ待望のエンディングまであと一話です。
前回に続く今回は。荻野原高旧校舎三階にて。突如あのピンク事光雄にとんでも不幸が降り掛かりますっ!
さあ皆さんでこのピンク事彼を笑いましょうっ!
そんな訳で。
最終回前話。始まり始まりっ。
ここは。『荻野原高等学校』この特別校舎の裏の奥――そこには雑木林の間からひっそりと顔を除かせる廃墟。『荻野原高等学校旧校舎』がある…。
物語はその旧校舎三階の遥か西側にある教室内から始まる――。
◆◇
『再びこの地に足を付ける事になるとは。遡る事60年前。昭和18年8月28日。
度重なる敗戦を打開するべく極秘に建てられた研究施設。
そこが禁断の悪しき物を召喚せし場所。帝國陸軍荻野原育成所…。我等の悲願は再びこの世界を、そして――。』
「ったく。アンタの素性はどうでもいいっつの。で?アンタは自分の欲の為だけにこんな大それた仕掛け(カラクリ)をやったと。」
鋭い眼差しで睨み付ける光雄。密かにポケット内にしまい込む数枚のルーンを掴む。
何が起きたのか未だ把握出来ていない奈々海を庇い。じっと両目蓋を細めながら様子を伺う。
光雄は突如ユラユラと姿を見せた亡霊らしき人物。 その人物が両手に構えるAciysの矛先を気にしながらも横目で背後で固まりだす奈々海に合図を送る。「早く廊下踊り場の宏人と共にマリオンと合流しろ」と。
奴が放つ嫌な魔力を感じる。やはりいくら魔術を体得しているとはいえ駆け出しの素人である光雄ではかなわないと。
プロであるマリオンに託すのだ。
『そうか。そなたは我が魔剣、『朱雀』が大変気になる様子。愚かな。それでも尚仲間の安否に気を向けるっ!我はそのような馴れ合いは虫酸が走るっ!』
「けっ!それがどうしたっつーんだよっ!!この侍やろぉぉがっ。」
瞬間的に目の前に転がる机や椅子がガリガリと激しく揺さ振られる。
眩ゆい光跡を残し2人の魔力が激突!光雄は密かに右手にu-ルーンを描きurR(野牛)を描く。
バリッ!と周りを取り囲む窓ガラスを吹き飛ばし。響き渡る激突音と共に。右手に具現化したFausを容赦なく振り下ろす。
こんな事態を想定してか、彼のパートナーであるマリオンに託された魔具を握りしめ次の一撃に備え身構える。
ゴガンとこの教室を震撼させる音源と共に眩ゆい波紋と火花を残す。
眼前に差し迫る朱雀の一貫きを露骨な湾刀でガリガリと凪ぎ払いながらお互い交差際に横目で睨み付ける!
そして再び2人は距離を置き対峙するのだ。
そんな中自身の足元で今現在眠ったまま動かない荻高の制服の人物や他校の生徒等がぴくりと動く。
光雄はその様子を横目で確かめながら確信した。
この空間に張り巡らされた結界が解けたと――。 そんな矢先思考が結界の方に向いていたのか突如油断した彼の眼前に袖の輩が肉薄!
突然の出来事にルーンカードを落とし手に掴む湾刃が消滅!
油断してたとはいえ、絶対絶命の危機を招いてしまうのだ。そしてっ!!
「――えっ?なに…あれ…。ピンクと。あのお侍さんの表情が。"別の意味で"凄い恐いです。」
「ちっ!奈々海っ。早くっ宏人の所に逃げ?。というかアンタはむぐぅぅっ!?」
『我とてそなたと敵対するつもりはない。これはお礼だ。そなた…。抵抗は無駄だ、力を抜け。さすれば我が永遠の世界へ誘おうぞっ?…』
「ピンクっ!?そんな。"ハレンチ"いやぁぁぁぁあああああ!!」
このこじんまりとした教室に両手を頬にあてがう奈々海の悲痛な叫びがこだましていた。果たして光雄と流し袖の美少年とに"ナニ"があったのか!!
◆◇
「そやっ。僕が二階に向かう間、圭輝が何処か行かへんように話しとったらええんとちゃう?」
「それって俺が圭輝を下から見張れっつー事か?いやいやいや流石に無理だ…。代わりに紫苑が?」
「どアホ。それこそ無理やねん!僕が話し掛けたら圭輝の奴又どっか行っちゃうやん!」
「うぐぇぇw…。紫苑も優希他も早く退いてよぉ〜。」
"緊迫した?"三階から打って変わって同じくここ荻高旧校舎一階。
何とも肝心の"マリオン"をむぎゅると踏み台に2人で、
あ〜でもない、こ〜でもないと騒がしくなる様子なのだが…。
未だに3人が見上げる二階で謎の挙動不審に陥る圭輝をどうやって生け捕るか密会中なのである。
しかし2人の下敷きになりながらべちゃりと間抜けにも窓越しに這いつくばるマリオン。やはり当然お約束的に彼女の表情が段々と思わしくない様になる様子を未だ気付かないのだが…。
◇◆
一方その頃再び圭輝が居る二階から同じく三階では…。
なにやら騒がしくなる下の様子を宏人は窓越しから伺う。
彼がよく知る複数の人物達の声が中庭の広場から賑やかに聞こえるのだ。
「(うおおい。まさかあの甲高い声、紫苑か? それに優希他に…。まさかあいつ等も何かしら見付けたのか?)」
かなり賑やかになりつつある下の階が気になる様子の宏人。
彼はその声のぬし達に、そっと悟られないように身を乗り出す。
特徴のあるフワリとした茶髪がどこからか吹いてくる風にのり揺らしながら斜め下方を除く。
丁度彼の立ち位置から向かいにある校舎一階付近。 目線の先に映る大きな窓にゆらゆら揺れる複数の人物を辞任する。
しかし?
「――へ?なんじゃこりゃ!?」
何とも左右を取り囲みあーでもないこーでもないと言い争う人物。
宏人がよく知るお馴染みの優裕希と紫苑の姿を辞任する。
しかし問題なのは2人の下敷きになりべちゃりとつぶれる彼にとってさも恐ろし〜い水色の"ナニカ"なのだ!
2人に水色の髪をわしゃりといじくられるわ。
寄り掛かられるわ挙げ句の果てにゃ〜グリグリ触られるわで相当堪に触ったのか。
ぷるる…。と正に起爆寸前な危険な身震いをはじめちゃっているのだ?
更にあろう事か彼女の視線と目が合ってしまう。
「おぅわぁぁっ!?ま…マリオンっw…。もう勘弁してぇ〜(汗)」
そう!目が合うと同時に可愛らしくクスリ? と恐ろし〜い笑みを零す。
まるで青い妖怪か魔女の類いの如く宏人に何かしらのジェスチャーを送る"ナニカ"!?
「うげぇ!マジもうこれ以上は無理っ。」
当然ぎこちない素振りで錆付いたカラクリ人形の如く彼女から目線を反らす。 かろうじて耐えようと我慢はするが、当然精神的にマリオンに対し極度の拒否反応を示すのだ。
そう、正にそれはトラウマとしかいいようがないのであるが。
そして、マリオンから逃れるように今現在教室内に居る光雄達に今度はじと目で訴えようとするのだが? 信じられない光景に目が点になる。
「そうか光雄…。あんたまさか…"そっち"の人だったとは。」
「んなっ!?ばっバカッ。そうじゃねぇっつの。なぁ奈々海さんっ?ちょっと俺様をたすけ……?」
「不潔ですっ。私!あなたがまさか"アレ"な人とは知りませんでした。頭のピンクが泣いていますよっ!」
「――ほへっ?いやそうじゃなくて。」
「黙れ変態ピンク!!」
涙目プラス何とも悲痛な表情で隣から見下ろす奈々海に泣き泣き媚を売る光雄…。先程まで彼女を庇う二枚目な彼の姿は何処へやら。やはり光雄は"バカ"であるw
奈々海は目の前で"ハレンチ"極まりない"アレ"な彼を超上から目線で軽蔑の眼差しを容赦なく突き付けているのだ。
そんな可哀想な"アレ"の周りに擦り寄る行方不明だった制服達は。
彼を取り囲み謎の祝福モードなのだが。
更に宏人はそんな光雄や奈々海の様子に空いた口が塞がらない始末なのだ。
「ちょ!てめぇ。」
「礼を言うぞ少年っ!」
「あんがとよ少年。おかげで助かったぜ。」
「まぁ。俺達にかかる火の粉を自らの犠牲で"アレ"になる。今度いい●●●になれるぞ少年っ♪」
「うぐぅ(涙)俺様の"初めて"は"マリオン"と決めていたのにぃっ!っつーかアンタ等さっきから人の身体に引っ付くなぁぁ!俺様は"アレ"じゃねぇぇぇ〜っ!!」
何とも最終的に光雄と言う約一名の犠牲者は有れど?
優希他がマリオンのサポートを借りて発動した魔術『妖精王の水遊び(Auber-elves-wajer)』の魔力によりこの土地に作用していた呪いが全て消滅。
更に上の階で奈々海達が行方不明者の確保。
荻高生徒会メンバーは又一つこの学校が抱える難問を解決したのである。
次回…最終回へ続くっ(笑)
『後書きコーナー』
圭輝「さてさて今回も色々と皆様の疑問にお答えします。」
奈々海「さて。圭輝先輩。前回で突然中止になりました"ピンク"の謎に今度こそ迫りたいと――えっ?なんですか?」
「ぼそぼそ――。」
奈々海「はぁ…。えっと。大丈夫です。居ないみたいですよ」キョロキョロ。
光雄「ふぅ〜…。んじゃここだけの話なんだが……。」
光雄「実は………。」
マリオン「はいっ!終わりっ。ほらほらっ行くよっ。」
光雄「あだっ!あだだだだっんだからひっぱるなぁ〜…。」
◇◆
圭輝「えと。又もや突然のハプニングみたいですね。」
奈々海「………。」
夜琉さん所の"原作も"よろしくねっ!