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異世界で生活始めます02

***


広がる木々、鬱々とさせる程の森の中に私は居た。空の明かりが漏れて手元を照らしていた。周りをぐるりと見渡してみて考えた。つねった、夢オチ、ビックリショーetc...。色々試してみたが周りの光景はそのまま。。少しばかりの時間経過後、現実であると理解させられたのだ。



見知らぬ景色、更に見渡して誰も居ないのにも不安が募った。

深い森の中。まだ日は高かったので、前は見えた。

足を速めて、とりあえず入り口付近を目指す事にした。


(夜一人で森の中にだけは勘弁だし)



足場は獣道の山道だった。

整備された道があるかもしれなかったが、探している余裕が無かったのだ。



**


もう夕方時らしく、空が朱を染めていた。

鳥の鳴き声が近くからも聞こえてきた。


やっと入り口付近までたどり着いた時、地平線まで見えた。

やっぱりこれは現実なんだ、と痛感した。



見たことが無い景色に焦りを隠せなかった。

悲しいのか、怖いのか、また不安なのか。

それらを混ぜ合わせた様な、分からない自身の感情。



どうしようと遠くを見つめていると―


そこは街道沿い、らしい。

遠めで馬車が何台かで走って来るのが見えた。

私は道を聞こうと、”おーい”と手を振ってそれに向かって声をあげた。



***



(魔族か竜人とか人間以外だったらどうしよう?)


(言語は通じるの?)



***


「へぇー、遠くから来たんだね?」


「はぁ、そうみたいです」


「これから行く所は当てあるのかい?」


「当てはこれから探すつもりです。公的な所で相談しようと思って。」


「そうさ、最近は物騒だからね。早い目にした方が良いよ。」


「この辺りじゃ、”迷い人”はそれほど珍しくないさね。お前さんの故郷に戻る戻れないに関わらず、しばらく暮らさなにゃならんしねぇ。」




言葉は普通に通じるし、彼らは普通に人間だった。


商人達の行商隊、今乗せてもらっている馬車もその内の1つだ。

同じ馬車に相席に乗せてもらい、今は男性と老女と話をしていた。

男性は商人でアードルフ、老女はフランツィスカと名乗った。



アードルフは20代半ばくらいに容姿から見受けられた。落ち着いた感じのある青年で、あちこちと行商するだけあり体格が良い。金の流れるストレートの髪に碧眼を持つ、典型的なヨーロッパ系の容姿をしている。


対するフランツィスカは、長い白髪を一つに束ね穏やかな眼差しを向けている。気さくで面倒見の良さそうな印象を受けた。彼女はここに来る前の町から乗車していて、向かう先で商売するつもりだと話す。



この辺りはどうやら治安が良くないらしい。追いはぎや商人を襲ったりする賊が度々出るらしい。だからこうやって町々へ行き来する商人が連れ立って安全を確保しているそうだ。そんな中、女が一人で街道を歩いているんだから驚いたと言われた。”迷い人”と言うのは、この世界とは違う世界から迷い込んできた人の事を指すそうで、この世界では少ないながらも存在しているみたいだ。今から行く街にも居るだろうと、希望が持てた。



この世界の名前はアナスタリア。そこには様々な国があり、種族が居て混在してるそうだ。今現状では戦国時代で、強い国が覇権を広げているみたい。数多ある国の中でも、強い部類に入るのが今向かってる国、”シュレーゼン”。



魔術が盛んな国らしい。


魔術?

(何て中2病的会話、普通の人とリアルに出来るとわっ。)


隠れゲーマー、隠れ漫画好きな私だけど、素では抵抗があったけれど・・こちらの世界では別段普通の事なんだそうだ。魔術が珍しいなんて、自分こそ変わってるねと言われた。



こちらの魔術は主に言えば2種類に区分される。民間に広く交付されていて、許可も要らない民衆魔術。使える人に術を習って、出来ればもうずっと使える。まさに実用。エコロジー。生活するにしても、火を起すのに術を使ってガスの代わりをさせるし、水を出すにしても術だし、風を起して乾燥させたりするのもそうだ。生活の必須ともいえるそうだ。


もう一つは使える人が少なく許可が必要な専門魔術。主に攻撃系・呪詛系・宗教系で魔術学校にて取得が出来る。一般的に使われると治安に触るとの理由で許可されるまで使用を禁止されている。この世界で魔術を使えない人は居ないらしい。それは”迷い人”も例外でないとアードルフは話した。



「この世界で魔術が使えないと苦労するよ?」


「うっ・・でも、どうやって使うんですか?」


ふぁさ、と金髪をかきあげ得意げに言う。

「お兄さんが教えてあげるよ」



ふぁふぁふぁ、と老女は面白そうに笑った。



街道をしばらく走った。外の景色はもう闇の中だった。明かりがぼぅっと街道の周りに浮いているのが見えるのみ。もう数刻で魔術都市に付くぞ、と御者の声が聞こえた。

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