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今後の方針、嵐の前の平穏

アズールが、今回の婚約の件を話し終えると一瞬の沈黙が、生まれた。3人ともそれぞれ思うことがあるようだ。

沈黙をやぶるように、ホークが話し始める。


「先ほどの内容承知しました。

 単刀直入にお聞きしますが、戦争は起こるでしょうか?」


「起こるだろうな。

 王都で情報収集をしたが、不穏な動きをしている国はいくつかあったし、何よりうちの王様もやる気だ。戦争は避けられないだろうよ。」


アズールはそう答える。

そもそも、こっちの王様が戦争を望んでいる。万が一、他国が戦争を回避しようとしたところで、回避できないだろう。


「こっちとしても、ビジュー国が持つ資源は魅力的だ。他国との争いを避けて譲る訳にはいかないとのことだ。

 それに、こっちの資源は枯れかけときている。

なおさらだな。」


むぅ。とホークが唸る。

ラボクラウンの内政状況には一番長けているため、近い将来たち行かなくなることが想像できるのだろう。


「わかりました。しかし、戦争をする際の金は用意できないですよ。ただでさえ、ギリギリで回しているのですから。」


アルマース国は、封建制を採用している。国の中心については、王自身が治めているが、地方は王の親族や将軍が、領主として治めている。そのため、地方運営については、領主に一任される。戦争が起こる際の準備に関しても例外なく、各領地で負担する必要がある。

それを見越して国に納める税に上乗せして、日頃より税を徴収するのが一般的である。しかし、ラボクラウンでは他の地方に比べて、上乗せされる税がきわめて少ない。戦争が起こった際などに必要な、突発的なお金を税として徴収していないためだ。


「そこについては、午前中にギルドに行って全て後払いにするよう調整してきた。

 だから、直近はそこまでお金は必要ないはずだ。

 足りない分は、国に借りるかな。」


ラボクラウンの軍隊は、他地方とは異なり正規の軍人がかなり少ない。また、領民を軍に徴兵せずギルドの傭兵を軍隊に加えて構成する。一回の戦争にかかる金は、他の地方に比べて莫大になる。しかし、平時にかかる固定費は少なくなり、傭兵に対しては見舞金も遺族年金も必要ない。


「それは、よくギルドの方々了承されましたね。。


「流石にただでは無理さ。

 通常払う金とは別に、今度戦争で勝ちとった一部鉱山の採掘権を渡すことでまとめてきた。」


「なるほど。」


「鉱山から資源を採掘するには職人の技術が必要だから、傭兵たちでは無理さ。結局、領民の働く場は奪われない。」


傭兵たちの平時の業務のほとんどは、運搬の護衛を生業にしている。ラボクラウンから資源がなくなり交易が途絶えれば困ることになる。この戦争には協力的にならざるおえない。


「とはいえ、戦争に必要な食糧や弾薬は準備する必要がある。動員する規模が決まったら、必要な経費を算出できるようにしておいてくれ。」


「承知しました。」


いったんは、納得したようである。


「・・ビジュー国の姫様は今回の事情はしっているの?」


珍しく、ムツが口を開く。


「いや、それはどうだろうな。

 偏見で申し訳ないが、どの姫君も国家間の事情はそこまで知らないんじゃないか。

 城の中では、情報を知るすべもないだろうし。」


城内で何不自由なく暮らしている姫が、国家間の事情は知らないのではないかという、偏見がアズールにはあった。人には、知っている情報のテリトリーが存在する。庶民が高級ワインの味がわからないように、王族に季節によって米を炊くのに必要な水の量はわからないだろう。


「・・何も知らない人を利用するのね。」


ムツは他国の貴族出身だ。現在の自分の境遇とてらしあわせて何か思うことがあるのかもしれない。

この事に関しては、アズールとしても心苦しところがある。

しかし、領民の生活と比べた時に優先するべきことではないとも考えている。


「思うところがないではないが、ここは王族としての責務を果たしてもらう。

 今まで、その立場にあることで受けてきた恩恵もあるだろう。」


「・・生まれは選べなから。」


自分か好きで選んだ立場ではないのだから、責任が発生するのはおかしいと言いたいのだろう。

ムツのほうが人としては、正しい考え方だと思う。

しかし、現実は正しいだけでは回っていかない。

不条理によって成り立っている部分も多々ある。


「それは、姫君に限った話ではないだろう。

 農家に生まれたら畑を継いで農家になるし、宿屋に生まれたら宿屋の主人になるだろう。」


「・・それは個人の意思で逃げ出せる。」


「なら、今回の縁談についても嫌なら逃げだせばいい。」


「・・国から?責務を課す相手の規模が違う。」


話が並行線を辿りはじめた時に、レスシタールが仲裁にはいる。


「まぁ、当事者がいないと結論がでない話しでしょう。もしかしたら、喜んでいるかもしれませんがね。見ようによっては、将軍の顔立ちも整っているようにみえますし?もっとひどい結婚相手が選ばれる可能性もあるわけですしねぇ。」


フンっとアズールが返事をする。


「お世辞どうも。

 というわけだ、そもそも縁談は向こうから提案された話だ。

 国の方針として変更されることはない。

 よろしいか。」


「・・はい。」


若干不満そうでは、あったがムツは了承の返事をする。


「他に何か話しておくことは、あるか?

 無ければいったんお開きだ。

 この件に関して進展があったら、また共有するから、各自、仕事に戻ってくれ。」


そう言って、それぞれの仕事に戻るように促す。



ムツとホークは部屋を出てき、レスシタールが部屋に残っている。吸いかけの煙草を最後まで吸っていくために残ったのかなっと思っていたが、レスシタールが話し始める。


「今回の縁談、大丈夫ですかな。

 どうも、嵐がくっついているようで、ラボクラウンの平穏がみだされそうだ。」


「てっきり、おまえは平穏は嫌いだっと思っていたんだが。

 台風がきたら気分が上がるタイプだろ。」


「別に否定はしませんよ。

 わたし個人としては、嵐が嫌いではないですから。ただ、立場が立場なので、他人を巻き込むのを良しとしなくなっただけですので。」


脈絡のない話しが始まり、アズールが目的を図りかねていると、煙草の煙を吐き出しながら、言葉を続ける。


「まぁ、わたしが不安に思っているのは将軍についてなんですがね。」


「別に、不安に思っていることはないんだけど。」


「まぁ、知っているのは自分だけなんですが。

 将軍は、1回離縁してますよね?

 今回のことをどう思っているのかなと。」


アズールがレスシタールに目線をやると、真剣な眼差しでこちらをみていた。茶化しているわけではなく、本気で心配しているのだ。


「別にさっき言ったように、婚姻期間も限定されているし、家庭をつくるわけでもないのだから、心配はいらないさ。」


「そうですか。。大丈夫ならいいんですが。。

 心の傷は自分が思っているより、根深いですがね。」


「にしても、前回とは状況が違いすぎる。

 しばらくの間、預かるくらいの認識さ。」


安心させるように、アズールは言葉を説く。


「まず、姫君についてはあったこともないし、どんな人かもわからない。何も思い出がない。重ねたりしないさ。」


さらに言葉を続ける。


「それに、何年前だと思ったいる?

 もう8年も前だぞ。流石に時間が解決している。」


ふーっとため息をつきながら、レスシタールが答える。


「であればいいのですがね。

 どうも、あの時のあなたはみてられなかったですから。」


「おれも、もう30を超えている。

 現実との折り合いのつけ方を覚えているさ。」


「いやー。正論すぎて、つまらないですな。

 真面目に、常識にとらわれないのがよかったのに、ずいぶん立派になられまして。」


「まぁ、嵐が嫌いになったおまえと同じだな。」


レスシタールが言ってきた皮肉に対して、返す刀で返答する。ちょっと嫌そうな顔をしながら、席をたちその場を離れようとする。


「まぁ、今回の縁談はよかったかもしれませんな。

 こちらが抱えている停滞した空気を吹き飛ばしてくれるかもしれませんから。

 そう思うと嵐も悪くない。」


そう言うとレスシタールは、部屋を出て行った。

確かに一理あるなと思いながら、アズールも職務へ戻る。

荒れ狂う嵐の前、凪のうちに、やれることはやっておかないといけない。

そうしないと、嵐は全てをさらっていってしまう。


それから一カ月後、縁談についての連絡が王都より届けられた。

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