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酒場の噂話、領地への帰還

 ジェダイト王との会談をしてから、丸三日王都に滞在した。王都には、色々な人が行き来している場所であるため、地方では知ることができない情報がある。ラボグラウンに帰るまでに、できる限りの情報は仕入れておきたい。アズールは酒場に、サムはギルドにそれぞれ情報収集に行った。

 最終日の夜、町の酒場で各自が集めた情報の整理をするために集まった。


「いいっすね〜。おいらもお酒呑んでみたいっす。

 16になったんでよくないですか?」

 

酒を傾けつつ、アズールは世間一般の人と同じように諭す。


「酒の味もわからんだろ、もったいない。

 ミルクかレモネードにしとけ。

 若いうちは、それよりもメシを食え。」


「ちぇ〜。わかりましたよぉ。

 だったら食べ物食いまくってやるっす。」


すみませ〜ん。と店員を呼び止め、サムは店のメニューを片っ端から注文しはじめた。ちゃんと食べきろよと思いながら、注文が終わるのを待つ。


「・・で何か収穫はあったか?」


「ん〜。そんな目新しい話はなかったっすね。

 しいて言うなら、ビジュー国周りで戦争が起きそうかも知れないってことですね。

 隣国付近で食料や武器を集めている動きがあるみたいですっ。」


人や物資の流れが増えることは、戦争が起こる前兆ではある。これは、本当に戦争が起こるかも知れない。どうやら、王の話は本当そうである。アズールが収集した情報もおおよそ同じようなものであったため、間違いないだろう。今後のことを考えると悪態が口から出そうになるので、お酒で呑みこむ。


「あっ。でも一つビジュー国については、面白い噂話がありましたねぇ。ビジュー国の王は先が長くないたいっす。それで、自分の姫をたぁ」


「他国に嫁がせているんだろ。」


「何だ知ってたんすか。でもそこまでは事実みたいですよね?その先の噂まで知ってるっすか?」


「いや。その先は知らないな。」


「この話は、ギルドにいた酔いどれピピンに聞いた話しなんですが、姫に国宝である宝石を持たせているみたいなんっすよ。」


「嫁入りの際に宝石を持たせてやるのはそんなにおかしな話しではないだろう。国宝っていうのは気になるが。」


「まぁ、最後まで聞いてくださいっす。

 持たされている宝石なんですが、全部別の種類の宝石みたいなんすよ。その宝石には、不思議な力が宿っていて全てを集めるとビジュー国が秘匿している財宝を手にすることができるみたいなんっすよ。」


何じゃそりゃ。おおかた、その宝石を巡って争いを起こしてほしいビジュー国が流したデマだろう。


「噂話としては、これから何かが始まりそうで面白いが、話の出どころはわかるのか?

 ピピンが言っているだけなら、寝ぼけた夢の話だろ。」


「それが、ピピンがウバール王国の護衛に雇われた時に聞いた話しみたいなんすよ。実際に聞いた相手は、ウバール王国の正規兵だったやつみたいなんすけど、王の天幕を護衛している時に盗み聞きしたみたいっす。あっ、店員さん!その注文ここっす!」


話しを聞いている途中に、注文した食事が届いたようで、一時中断する。机の上に並んだ料理は、蒸したジャガイモにチーズやトマトに肉が乗っているピザ、卵を挟んだサンドイッチ。そして、トマトソースと魚介で煮込んだスパゲッティ。腹に溜まるのが多いな。。そんな感想をいだきながら、アズールは全部を一口ずつ食べて、また酒を呑みはじめる。サムは話しが途中になっていることも忘れたようで、一心不乱に食べ進めていく。食べかすをポロポロこぼすわけでもなく、飲み物で流しこみながら食べるわけでもなく、見ていて不快にならない気持ちいい食べっぷりである。デザートはどうする?と話しかけたくなるほどだ。

まんぞく、めんぞく。

どうやら落ち着いたみたいなので、アズールから話の続きを促す。


「で?天幕ではどういう話しがされていたんだ?」


「あぁ、はいっ。天幕ではさっきのビジュー国の財宝の話しを姫君がウバール王国の国王に話してたみいなんす。はじめは国王も信じていない感じだったんすよね。そこで姫君が宝石を取り出して何かをした際に天幕は光輝いたみたいっす。」


「それで、何が起こったんだ?」


「いやー。実はそこで話しは終わりなんっすよ。

 光輝いた後に、何事かと思い護衛兵として天幕の中に入ったんですが、何でもないと国王にいなされてしまい、わからずじまいだったって話しっす。」


「肝心なところがわからないじゃないか。。」


「申し訳ないっす。自分で言っていてなんですけど、結局又聞きなんで信憑性は薄いかもっすね。」


そういうと、サムはいつのまにか頼んだ紅茶をすすって一息ついた。

今の話が本当だとすると、ビジュー国の狙いは国の維持ではないのかもしれない。争いがおこることをけしかけているように感じる。国を保つことを望むならば争いは起きない緊張状態をのぞむのではないか。


「・・どちらにしても、姫君にあえば噂話の真偽もはっきりするということか。」


さっきの話が本当であるならば、アズールにも話されるはずである。


「何か言いましたか?」


そういえば、ビジュー国の姫君と縁談することを伝えていなかったことを思い出す。


「実は、今回王に呼ばれたのが、ビジュー国の姫君との縁談について呼び出されていたんだ。

 だから、今回の噂話の真偽についても確かめられるな。」


「ええ〜!?まじっすか!!!」


サムの驚愕の声が、酒場に響きわたった。



あの後、サムに質問攻めにされた。

結婚相手はどんな人なのか。

としはいくつなのか。

いつ結婚式を挙げるのか、、など。

色々質問されたのだが、結局わからないが回答になったためすこぶる不満そうだった。


「何か隠してることないっすか〜?」


「ほんとに、わかんないんだって。

 3日前に言われたばっかなんだから。」


ラボグラウンに帰る途中になっても、まだ聞いてくる。ラボグラウンまでは王都から、歩きで5日くらいで馬に乗れば3日くらいの距離である。その道中にずっと聞かれるのは気分が滅入る。


「いや〜ふつう気にならないもんすかねぇ。

 相手がどんな人か。自分だったら絶対に聞くのになぁ〜。」


「・・今回は戦争がおこるための火種の要因である背景が強すぎて、そこまで気にならなかったな。

どんな人柄であろうと、かわいそうではあるよな。

王族から地方領主の妻になるわけだから。」


「へん。そう思わせないようにしてあげるのが夫になる責任っすよ。」


「うるせー、おまえはまだ結婚したことないだろ。」


「結婚はしてないっすけど、シミュレーションはしてるっすから。」


「恋人もいないくせに何言ってんだか。。

 んっ?そのシミュレーションの相手は誰にしてるんだ?」


「あっ!いやこの話しはここで終わりっす。」


「いや。おまえ、絶対に好きな人ができただろ。

 こっちは話したんだから話せ!

 人の話を聞いたら自分の恋バナをする基本だそ!」


「領主様のは別に恋バナじゃないっすよ〜。」


そう言って、逃げるように駆け足で先を行く。

はぐれないようにこちらも小走りで後を追う。


なるべく仲良くはしないとなぁ。少なくとも1〜2年は一緒に生活する必要があるだから、なるべく平穏に過ごせることを願って。



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