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第51話 鉄壁・完璧・敵は無し
アクナゼウロ2世は若くもないが、爺でもなさそうだ。と言うよりも年齢がよく分からない。分厚い鎧に身を包み、分厚い鉄仮面をかぶり、斧を持っている姿は金太郎も小便をちびる程の威圧感があった。第一印象を端的に表すなら鉄壁・完璧・敵は無しと言った様な感じであった。
「貴様、名は何と言う?」
「リナよ。」
「クロムガス王国竜騎士団の生き残りと言うのは?」
「誠の真実です。」
「そんな手負いの状態でこのワシに勝てるとと言うのか?」
「だとしたら?」
「ムーンゥゥゥ!!」
アクナゼウロ2世は天に祈りを捧げた。するとリナの体力や傷がみるみるうちに回復していったではないか?
「これは?」
「せめてイーブンの状態で戦いたいのでな。」
これはアクナゼウル王国の総大将としてのプライドが垣間見える行為であった。手負いの女竜騎士に負けたとあっては、最強の盟主どころか、とんだ噛ませ犬になりかねない。勝負はやっとスタート地点にたった。いずれにせよ、リナにとってはありがたい施しであった。




