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第5話 脱雑用
ポールストン山への本の運搬は本当にキツかった。1000冊は軽く見積ってもあるし、それが分厚い辞書の様な本である為、リナの戦意は大きく削がれた。それでも、祖国クロムガス王国の復興と憎きアクナゼウル王国を倒す為に歯を食いしばって我慢するしか無かった。リナは3日かかる作業を、2日で終えた。しかもリザベラ(飛竜)を使わずに。ケイツァーもようやくリナを認めた。
「おい、雑用?じゃなくてリナっつたか?」
「はい!」
「その見事なサーベルを持って来い。俺が稽古をつけてやる。」
「本当?やったー!」
リナは少女の様な声で喜んだ。脱雑用の目的を果たしたリナはいよいよケイツァーとの稽古に臨む事になる。しかし本当の地獄は、ここからであった。ケイツァーは鬼の様に強かった。まるで自分が生まれたての赤子であるかの様な扱われ方であった。ただ、この大陸一のサーベル使いに稽古をつけて貰える事は凄い事で大したもんである。後にケイツァーを師と仰ぐ事になる2人の稽古はここから始まったのであった。