第41話 圧倒的攻撃力
副長リクードルの最大の武器は何と言っても、アクナゼウル王国最強の呼び声高い二刀流剣術の使い手だと、言う事である。刀を片手で一本ずつ持つのは、口で言う程簡単な事ではない。しかもそれだけではなく、自由自在に振り回すのであるから、その怪力は想像に難しくは無いだろう。
リナはアクナゼウロ2世と言うボスを目の前にして、最悪のタイミングで、副長リクードルと相まみえる事になってしまった。しかし、体力を消耗していようがいまいが、リナに次は無い。一度撤退してしまえば、もう敵の懐に飛び込むだけで精一杯になりかねない。雑兵の数を揃える事など、アクナゼウル御三家を失った今でも影響力が広範囲に及んでいるアクナゼウル王国にとっては、造作もない事であった。低下する体力と言う自分との戦いも加わったリナの心の中にあったのは、クロムガス王国の敵をとり、もう一度その手で祖国を復興させる、ただそれだけであった。そんな野望の前に立ち塞がるアクナゼウル王国副長リクードルの圧倒的攻撃力の前に、敗北もチラチラ見え始めていた。




