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第25話 カテナーティオ
港町ディルドはアクナゼウル王国軍第6師団によって支配されていた。この第6師団はただの寄せ集めではなく、第2、第4師団と共にアクナゼウル王国軍3大勢力の一角を担っていた。人々はこれを御三家ならぬアクナ三家と呼んでいた。その指揮を執るのは緑髪のグリージアこと、グリージア大将である。アクナ三家最年少ながら、その剣さばきは神の領域にすらある。リナはグリージア大将率いる約1万2000人の大軍を1人で相手にするつもりなのか?
または、チェスの様にキング(グリージア大将)だけを倒してチェックメイトするつもりなのか?いずれにしてもリナの勝算は薄い。リナはリザベラと共にディルド上空にいた。
「何かやたらと兵士が固まっているわね?」
そう、リナの言う通りディルド駐留のアクナゼウル王国軍第6師団は、得意のカテナーティオと呼ばれる特殊な陣形を組んでいた。これを崩すのは同数の兵力を持ってしても無理かも知れない。リナは、考えて考えて考え抜いてある一つの策に辿り着く。




