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番外編⑩城への侵入
「ここか、転移者達がいる場所は……」
転移者、すなわちクラスメイト達がいる城の中を、こっそりと隠れながら進む者がいた。
「たく勝手なことをしよって、どう責任を取るつもりだ」
何やら愚痴をこぼしている。
しばらくして、見張りの兵士が近づいてくるのを目撃したため、近くの茂みに身を潜めた。
「今日も異常は無いかな」
「……」
気づかれないよう、息を殺し、その場にとどまり続ける。
「しかし、今夜も大丈夫なのか…?」
「……」
「魔族を匿ってるなんて知られたら、俺達クビになるんだよなぁ〜」
(ッ!、魔族を匿ってるだと!?)
言葉を声に出さないよう必死に両手で抑え、兵士が遠くに行くまで待ち続けた。
「そろそろ、か?」
こっそりと茂みから顔を出し、辺りを見回した。
兵士がいなくなったのを確認して、移動を開始した。
「やはりいたのか、この国に……」
そう口にし、拳を強く握った。