番外編⑤むず痒い
「あのさ、毎回思うけど…」
俺は頬を赤らめながら、日和と抱き合っていた。
「長くない…?」
「…そう……かな」
彼女はきょとんとしていた。
起きた時と寝る前に一回抱き合う、そういう約束だったけど……。
彼女と抱き合ってる時間は、幸せに感じると同時に、少しむず痒いと感じていた。
「はぁ…」
この先に進めない、進めなくしたのは自分だけど、正直もっと触っていたい気持ちもある。
この時間が長引けは長引くほど、俺は自分を抑えるのが難しくなっていった。
気がつくと俺は、彼女の服の中に、そっと手を入れていた。
「ひゃっ…」
彼女から甘い声が聞こえてくる。
手の甲から彼女の肌を直で感じて、触れば触るほど、|繋がりたいと《・・・・・・》欲求が強まっていった。
「ん…ひうっ」
「……」
「あっ…」
気がつくと俺は──彼女の服を全部脱がしていた。
そして下着姿になった彼女を、俺は両手を後ろに回しながら抱きしめた。
(暖かい…)
服を着ていない彼女を抱きしめたことで、体温をより強く感じられた。
彼女の方は、恥ずかしがりながらも、とても幸せそうにしていた。
「ねぇ、下着は…?」
彼女はそう言って、こちらの顔を覗いていた。
まるで何かを期待してるような表情をしていた。
「……」
俺は自分の服を脱いだ後、彼女の下着も脱がした。
お互い上半身裸のまま抱き合っている。
「ねぇ、このまま寝るのだめ…?」
「ッ──それは……」
俺はしばらく考えた。
考えた結果、彼女を強く抱き、彼女の頭に手を置いた。
「今夜だけなら…まぁ」
そう言って、俺は彼女と共に横に寝た。
互いが目を瞑り、眠りに入る。
「ありがとう……」
彼女は最後にそう言い残し、俺達は抱き合いながら、そのまま就寝したのだった。