番外編④王様と兵士
「うむ、報告ご苦労」
王室にある椅子に座り、王様が兵士と話をしていた。
兵士は床に膝をついて話をする。
「今のところ皆、徐々に《スキル》を使いこなしております」
「そうか…体調の方は?」
「未だ病気などはありません、見に行かれますか?」
「いや、引き続きそちらで管理せよ」
「はっ!」
兵士は立ち上がり、王室を去ろうと歩き出した。
しかしあることを思い出し、歩くのを止めた。
「失礼国王様、実はもう一つ報告が…」
「む、なんだ?」
兵士は再度国王の方に体を向け、そして口を開いた。
「実は夜な夜な、数名の兵士と、転移者の少女が、城にある倉庫に向かっていると……」
「なに?どういうことだ?」
「わかりません、彼らの証言では──「"訓練"をしていた」とおっしゃっており」
「……」
顎に手を当てて、王様は兵士に言った。
「すまんが、その少女の名は何だ?」
王様の問いに、兵士は答えた。
「神楽子産、という少女です」
「そうか……その者の調査を頼めるか?」
「はっ!おまかせを!!」
そう言い残し、兵士は去って行った。
「う〜む、何もなければ良いが……」
不安を抱えながら、王様は椅子に座り続けた。