リメンバーズチーム 再会
「瞳、瞳、いるか」
智嬉さんは翌日、陽桜瞳さんに電話をかけた
『もしもし…って、智嬉? 私に電話してくるなんて珍しいわね、なにかあった?』
「滝のこと、なにも知らないのか?」
『知ってるわよ 敵になったんでしょう? 結婚して傍にいるんだから分かるわよ』
「…戦いに行かないのか」
智嬉さんは言いづらいことをついに話す
『私は 戦いたくない 助けに行きたいけど もう私は一般人なのよ 力もなにもない 毎晩あの人の夢を見るわ』
「…俺たちの通信機、作ってくれたんだってな ありがとう 滝にも渡せたら渡すよ」
智嬉さんが少し明るく話すと、瞳さんは嬉しそうに答えた
『こんなことしかできなくてごめんね、滝を宜しく頼むわ 私は結構裏方で忙しいから』
「ありがとう…そのうち会いにいくよ」
『気にしなくて大丈夫よ あなたも忙しいんでしょう? 滝が敵になったから、また集合する日が近いかもしれないわね、私たち』
そういわれて、智嬉さんはハッとした
「なるべくなら、そうはしたくない」
『無理しないで、辛かったら呼んでね それじゃ』
瞳さんはそう言い残し、電話が終わった
「…瞳…ありがとう…」
智嬉さんは忙しい
仲間たちに戦えるかずっと連絡をしている
「純!」
昼休みも絶えず電話をし続ける
『ん?ああ、智嬉か どうした』
「純、お前滝が敵になったの知ってるか」
『ああもちろんだ 姿も見た あれは普通じゃない目をしていたよ 』
「話が早いな… なあ、一緒に戦ってくれないか?俺と」
純さんは一瞬考えた
『……お前と一緒か まあ、ずっと一緒に戦ってきたわけだし今更逃げられないよな 』
「純…」
『滝を救いたい 俺の力がどれくらいあるかは分からないけど』
「そうか、お前も…」
リメンバーズチームは2年前に解散して力も減っている
戦えないのは不思議ではない
皆それぞれやりたいことをやっている
『ああ、力が減ってるんだよ 戦えないぐらいにな』
「無理しないでくれ 今回の敵は滝よりはるかに強いんだから」
『分かってる 一応顔出すよ 今日』
「ああ…って今日!?」
なんにも準備していない、と智嬉さんは焦りだし、慌てて部屋にある全身鏡を見る
『なに驚いてんだよ、話ははやいほうがいいだろ?』
「まあそうだけど」
『じゃ、仕事今日はあんまりないし、俺今そっちに行くわ』
そう言って、純さんは切った
「まっ… ったく、仕方ないなあ とりあえず大胡に言わないと」
<挿絵>
俺は道場にいた
普段戦闘が無い日はずっと1人で道場にいることが多い
部屋でじっとしていられない
「ハッ!!」
回し蹴りの練習をしていると、智嬉さんが現れた
「っと危ね!!」
危うく足が智嬉さんの顔に当たるところだった!
「智嬉さん!大丈夫ですか!?」
「大丈夫だよ それより、これから俺の仲間が顔を出すからさ、一旦休憩にしないか」
「分かりました」
後から雅人も合流し、ロビーでその人に出会う
「あれ、お前はこの間の」
「荒井純さん!?」
智嬉さんは俺たちの反応にびっくりしていた
「なんだもう会ってたのかよ!」
「悪い悪い、智嬉に言うの忘れてた、 改めて、俺は"荒井純" 智嬉との同じ仲間だ よろしくな」
「はい、よろしくお願いします!」
「で、司令官はいる?」
純さんは智嬉さんと一緒に司令官室へ向かった
「雅人、これからどうする」
傍にいた雅人に話しかける
「俺はなにも指示されていない かと言ってなにもしないわけにもいかないしな」
「そうだな」
すると、ロビーの玄関からもう1人、お客さんがきた
「あら、新しい能力者ね? 智嬉に呼ばれてきたんだけど」
セミショートの、茶髪でスラリとした体格の女性だった
「あなたは…」
「はじめまして、リメンバーズチームの"新野みづき"よ 司令官室に案内してくれるかしら」
「純さんと同じ仲間ですね」
「あらもう純を知ってるのね じゃあ話がスムーズだわ」
そう言いながら、俺たちはみづきさんを司令官室へ案内することにした
「司令官、失礼します」
「ああ大胡か 入りたまえ」
ドアノブを開けると、目の前にいた純さんはみづきさんの姿に驚いていた
「みづき!?」
「久しぶりね、純」