最大の必殺技
"馬鹿なことはやめろ!!"
「この、声は… 親父か!?」
滝さんの父親、蒼山貴明さんの声が突然滝さんの脳内に響く
「滝!? どうした!」
俺たちを初め仲間が驚いた
「今、俺の脳内に親父の声が…」
隣にいた弟、圭介さんやロダ様も様子がおかしかった
「私も貴明の声が聞こえた」
「俺も…」
「ちぃ、今更貴明が味方をしようとも、もう遅い 私は、貴明を許さん、蒼山滝を、許さん!!」
ゲイドから全身に悪意に満ちたオーラが発生した
「な、これは…!?」
「滝くんに罪はないんだ、落ち着きたまえ!! 」
ロダ様は俺たち全員を囲うようにバリアを張る
「ロダ様…俺は、売られた喧嘩なら買いますよ 俺が戦わなきゃ、どの道この世界は崩壊するんでしょう?」
滝さんの言葉に、誠さんは顔を下に俯いた
「くっ…」
「やるしかねえよな 嫌いじゃないぜ、お前のその覚悟」
純さんも覚悟を決めていた
「俺がどれだけ力があるか分からないけど…やりましょう、滝さん!」
俺も、腹を括った
思えば、生きていても帰れば1人なのだ
今更怖いものなんてない
「大胡!」
滝さんに話しかけられた
「えっ!?」
「ごめん 俺は自分のことばかりで、仲間に気遣いも出来なくて 最後は…精一杯、仲間を守るから!!」
「……はい!!」
俺は本格的に戦う体勢をした
「生意気な小僧共 そんな力で、ロダ様を守れるか!!」
ゲイドは容赦なく俺たちを攻撃する
「"黒色の地獄"!!」
「うわあああっ!!」
黒いオーラの波動が、俺たちに襲いかかる
俺たちは抵抗しようにも適わず仲間がどんどん倒れていく
ただのオーラの波動なのに、体に当たれば全身に痛みに襲われる
しかし、滝さん、誠さん、ロダ様、ダガントさん、ルクスさんは耐えられた
「何!?」
「言っただろ…俺は…この世界を、国を、守るって…」
「滝くん、これを」
ロダ様はあのディマイズ・ソードを滝さんに渡した
「これは…!!」
「その剣の力で、今こそ封印するんだ、ゲイドを!!」
「封印したら、他の仲間が!!」
滝さんは俺たちが消えてしまうことを恐れていた
「滝くん…君が良ければ、貴明にも伝授した、あの最大の必殺技を教えよう」
「……やります、教えてください!!」
「ロダ様…!?」
ゲイドは再び滝さんに襲いかかる
ゲイドの姿は既に、人間の姿をしていなかった
俺たちが倒れたことにより、力が吸い取られ、俺たちの能力を自分のものにしていた
「ふはは…これだけ力があれば、私は最強だ!!お前の力を吸い取れば!!」
ロダ様と滝さんはゲイドに構わず最大の必殺技の構えを始めた
「滝くん…武器を空に掲げて…」
「はい!」
「いくよ…私に合わせて "我が国を守れ、不届き者に裁きを!! 平和を我らに!! " 」
「うおおおおぉ、死ねー!!!」
ゲイドは化け物と化し、滝さんを食い尽くす勢いで向かってきた
「"戦神封印"!!!!」
滝さんとロダ様が声を合わせると、ゲイドは散り散りに散っていった
そして、辺りは白い光に包まれた
「…やった、のか…!?」
滝さんは休むことなくずっと、降り注ぐ光を見つめていた
「成功した…見事だ…」
ロダ様は涙を流していた
「ロダ様!!」
「申し訳ありません!!」
滝さんは慌てて頭を下げた
「なぜ?」
「ロダ様の国を、消滅させてしまいました、俺は、なんてことを…!!」
「ふ、ふふ…違うよ滝くん」
「え?」
ロダ様は滝さんを優しく抱きしめた
「大成功だよ これで私たちの国を、また新たに再生ができる 今度こそ、平和な国を 私は今まで、この秘術を使うのを躊躇っていた 成功する保証もなかったんでね だけど…」
そっと滝さんの体を離す
「君がいてくれて良かった 」
「ロダ様…」
「この国は、分かる通り君たちの場所から遠く離れたはるか彼方にある国 異世界だ 何百年も前からずっと、戦が耐えなかった シルヴァも貴明も、戦っても戦は終わらなかった」
滝さんは黙ってロダ様の話を聞いていた
「ここは、"イースト・フロンティア" という異世界の国さ」
「シルヴァ…いえ、司令官たちはどうなるんです 俺たちの仲間は!」
「最後の仕事だよ 滝くん 君が、仲間を再生するんだ」
「俺が…!!?」