ずっと恐れていた悲劇
「シルヴァ様!!」
(もう長くは持たないかもしれんな…シルヴァ…頼む…生きてくれ…!!)
ある1人の女医がロダ様に訊ねた
「けれど、シルヴァ様は透明な体なんでしょう? なぜこんなに長く生きていられるのですか まさか、霊体ですか?」
そう聞かれ、ロダ様はギクリとする
「確かに、なぜシルヴァは透明な体ながらもいきている人間たちと交流できるのか昔から不思議ではあった 時より、姿は見せるのだが 彼をよく知る機会になりそうだ」
「ロダ様は今まで聞かなかったのですか?」
仲間に聞かれロダ様は司令官の顔を見ながら話す
「聞かなかった 真意を聞いたら、今までの関係が壊れてしまいそうで」
「しかし、体が点滅しています、もしかしたらシルヴァ様は…」
ロダ様は恐れていた、司令官が消えていなくなるのを
ところ変わって、滝さんは
「な、なんだこの人たち…!?」
「やあ、君がシルヴァやロダ様をお守りしてくれていた蒼山滝くんかね?」
軍服を纏った男性が滝さんに向かって歩いてきた
「あ、あなたは…?」
「私は近衛隊 隊長、"ルクス・ノル" だ よくここまで来てくれた ロダ様を、シルヴァを守ってくれてありがとう」
滝さんは頭を深々下げた
「はじめまして、俺は蒼山滝、蒼山貴明の長男でございます、能力者でございまして…」
ルクスと名乗る男性はくすくす笑っていた
「いや、そんなに説明しなくていいよ、こちらで十分分かっているんだ こんな廊下で立ち話もなんだし、ロダ様の部屋へ行こうか 皆が待っているだろう?」
「……はい!」
滝さんとルクスさんは俺たちがいる部屋へ向かった
「私の技を持ってしても、復活しないか…!」
「ロダ様!その技は危険でございます!」
「いや、最後まで諦めたくないのだ!私は!!」
医者たちと揉めていると、後ろから背の高い滝さんの姿によく似た、男性が現れた
「ダガント…!」
「シルヴァがもう、最後なのか?」
「諦めたくはないんだが…」
「再生の力を持っているのはシルヴァだったんだけどな」
ロダ様は諦めずに、司令官の回復を行った
「"領域治癒"!!」
ロダ様が叫ぶと、司令官の体は光出した
「シルヴァ!!」
「うまくいかんか…!?」
しかし、光出したのは一瞬で、むしろ、宮殿へ運んだ時より司令官の体は暗くなっていた
「シルヴァ…!!」
「こりゃ、通信機で滝たちを呼んだほうがいいのでは」
「ああ… 私は…無力だ…」
「ロダ様…」
俺たちは、司令官を囲むようにただ静かに司令官を見守っていた
「司令官…生きて…生きてくれ…っ!!」
滝さんはひたすら涙を流して司令官の様子を見守っていた
「司令官がいなくなれば、俺たちは能力者を続ける意味がないじゃないですか」
智嬉さんも少し目頭が熱くなっていた
「な、なんだこの状態は!?」
純さんが声を荒らげると、能力者全員の能力の力が吸い取られていった!
滝さんは誰よりも力が強かったせいか、マグマのように力が吸い取られていく
「滝さん!!」
俺は滝さんを助けたかった
力が吸い取られているのを他所に、ロダ様はハッとする
(こんなことをできるのは分かっている 莫大な力を持った能力者しかできない)
「分かったぞ こんなことをできるのは、あいつしかいない!!」
「犯人がいるんですか!?」
「滝くん…ごめん…私は大嘘つきだ…」
滝さんは能力が一気に莫大に吸い取られたが、体は無事だった
しかし、滝さん含め俺たちは戦意喪失してしまった
何より、今の状況で司令官が死んでしまったのだから
ロダ様はまだ意識がはっきりしている
ダガントさんも、能力は吸い取られたが他の仲間よりしっかりしていた
「犯人がいるのか!?」
「滝くん…本当にごめん…犯人は…」
「"天華乱舞"!!」
ロダ様を巨大な竜巻が襲う
「えっ!? 滝!?どうしてロダ様を狙うんだ!?」
滝さんの隣にいた智嬉さんが動揺する
「違う!!これは俺の技じゃない!!」
滝さんは全力で否定した、すると…
歩いてきたのは
今まで、ずっと死んでいたと思ってきた、その人であった
「なんで…なんでだよ…!?」
滝さんはその場に座り込んでしまった
「滝!!」
純さんは慌てて滝さんを庇う
「何者だ、あなたは!?」
雅人は恐れずその人に訊ねた
「……"蒼山貴明" だよ 私をずっと、探していたんだろう?滝、 圭介」
「!!!」
滝さんはずっと肩を震わせていた
圭介さんもなにも言えなかった――