たとえ強くなくとも
「大胡の身体が…、今だ!!」
俺の身体が光ったと同時に敵の動きが停止し、雅人は敵の足を踏んづけた
「いてっ!!」
「散々俺を痛ぶりやがって 覚悟しな!!」
雅人は怒りに任せて技を放つ
「"ファイアバースト"!!!」
赤い炎がテックを包む
「ああああ!! 」
「やった… 」
テックがやられそうな時に、聞き覚えのある声がロビーに響いた
「"天華乱舞"!!」
「えっ!?」
滝さんと同じ技を誰かが放った
竜巻がテックを襲う
「みてろ…能力者たちよ…次は容赦はしない…」
テックはよろめきながら捨て台詞を吐き、テレポートで消滅していった
「雅人、やったな!」
敵が消滅した瞬間に俺の光っていた身体も元に戻った
「ありがとう大胡 でも、滝さんと同じ技を誰が…」
「確かに、今は療養中なのに…」
声の主は滝さんではなかった
「おいおい俺の存在を忘れるなよ2人とも!」
俺たちの目の前に現れたのは、滝さんの弟圭介さんと、滝さんの生まれ変わりトヴァースさんだった
「トヴァースさん!」
「滝が療養中だってシルヴァに言われてね… 純も病院で勤務してリーダー不在だっていうから、こっちに来たんだ」
「てことはトヴァースさんがリーダー代理を?」
雅人がトヴァースさんに聞くとトヴァースさんはうなづいた
「ああ、一時期だけど よろしく頼むよ」
「圭介さんは?」
「さっき敵を倒したのは俺だ」
「……!! 滝さんと同じ技を圭介さんが…」
圭介さんは細長い棍棒を気だるそうに肩に担ぐ
「まあ、弟だし 威力は兄貴のほうが高いけどな 無事倒せて良かった」
「圭介さんは滝さんの様子は?」
「それがまだ見てないんだよ 大胡は見に行ったんだろ?」
圭介さんに聞かれて俺は目を逸らした
「はい」
「ん?なんか気にしてんの?」
俺の頬を圭介さんは指で軽くつつく
「なっなにするんですかっ」
「兄貴は確かに強いけど、お前が気にすることはないよ 自然と兄貴はガンガン強い技を使ってたから少し疲労が溜まったのかな ロビーでずっと話すのもなんだし、食堂行くか」
俺たちはそのままの足で一旦休憩に入った
「圭介さん 俺は司令官に報告しますよ」
「そのほうがいいな じゃ、お前も仕事は程々に」
みんなは食堂へ行き、俺は1人司令官室へ向かった
司令官は未だ滝さんの様子を見に行って戻ってこない
司令官室には誰もいなかった
「あれっまだ司令官いないのか?」
俺は通信機で司令官を呼ぶ
「ああ、もしもし、司令官ですか 今本拠地に敵が現れまして …はい、敵は消滅しました 圭介さんとトヴァースさんが協力してくれて はい、まだ司令官はそちらに?」
『いや、もう戻るよ ご苦労さん、よく頑張ったな』
そうして、通信機を切った
「滝さんがいない戦闘…怖かった…」
小さい声でぼそり呟くと、アジトから智嬉さんがテレポートで帰還した
「うわあっ!って智嬉さんですか!」
「うわあ!はこっちだぜ!!なんでお前が司令官の椅子に座ってんだよ!!」
「司令官は今不在で、連絡を入れてたんです、それでここにいました」
智嬉さんはため息をこぼした
「はあ…そうだったか」
「智嬉さん…?」
「大胡、純も、滝もいない今のチーム、不安なのは分かる だけど、今の敵を侮ってはいけない 奴らはまた滝を敵にしようと企んでいる」
俺は体が固まった
「なっ…弱っている滝さんを!?」
「それが狙いなんだよ」
司令官も天井からテレポートで帰還した
「司令官、お帰りなさい」
「大胡、ご苦労さんだったな お前たちだけで敵を倒すだなんてやるじゃないか」
「えっそれはほんとか!?」
智嬉さんは隣にいた司令官に体を向けて動揺した
「本当ですよ」
「……いつの間にか、成長してるんだな 」
「智嬉はなぜ私の部屋に来たんだ?」
「敵の動向を知らせに」
張り詰めた空気が、狭い司令官室を包んだ…




