初めての負傷
俺たちが戦闘している間、純さんの病院では
滝さんは病室に移動されていた
「良かったな、個室で」
純さんは滝さんのカバンを収納棚にしまっていた
「……荷物、ありがとな」
「あれ?今日は素直だな」
「俺の身体、どうなってんだ?司令官からなにか聞いてるか?」
純さんは滝さんのベッドの横に置いてあるパイプ椅子にどかりと座った
「滝の中にある、敵の力はすべて司令官が浄化したよ きれいさっぱりないって でも…」
「でも?」
「お前の能力も、大分減っているそうだ」
「!!」
純さんは腕組みをした
<挿絵>
「お前の体力が回復したら、また敵は狙ってくるかもしれないな」
純さんは滝さんの肩を優しく叩いた
「今は、ゆっくり休みなよ お前も戦闘続きで疲れただろ? 1週間休めって司令官と荒井先生が言ってた 今夜高熱が出たら俺に知らせてくれ」
「熱?」
「ああ、敵の力を一気に浄化しただろ、その影響で熱が出るかもしれないんだってさ それで滝を病院に寄越したんだ」
滝さんは再び横になった
「……司令官…」
「俺も勤務してるから、なんかあったら知らせてくれ、それじゃ」
そう言って、純さんは個室から出ていった
(確かに身体がだるい…少し休んでいくか…)
所変わって、戦闘が始まっている司令官室
「俺は、滝さんがいない間俺がしっかりしなきゃって決めてんだ!」
「あの貴明の息子のどこがいいんですか 彼もまた、いつかこの街を滅ぼしますよ」
レスは俺の腕を掴んだ
「!!」
「いつか苦しい思いをしますよ、あの息子といれば」
「俺は滝さんの事を尊敬してんだよ!!」
俺は力強くレスの掴んだ手を振り払った
「"能力妨害"!!」
尖った岩がレスを目掛けて攻撃する
「ああっ!!」
「でかした、大胡!!」
「大胡!遅くなってごめん!!」
雅人と翔月が後から応戦に入った
「2人とも…!!」
(くっ、仲間が背後からきましたか…1対3では…こちらが不利…)
後から2人の登場で挟み撃ちになっていたレスはテレポートで司令官の隣に逃げた
「なっ!!」
「あなた達に勝ち目はありませんよ 私の技で」
レスは俺たちに向かって手を差し出し攻撃する
「いでよ、ウォーターサーベル!!」
レスが叫ぶと水をまとった青い剣が現れた
「ふふ、あなた達をこれで倒します」
「大胡、危ない!!」
司令官が叫んだのもつかの間、俺は既に剣で右頬につーっと血が流れているのが分かった
「くそっ…」
俺は慌てて右手で頬を抑えた
「大胡!!俺も加勢する!!"ファイアブレイク"!!」
雅人はとっさに技を放った
轟々と炎が燃え盛る
「くっ…こんなはずでは…」
雅人の技により、レスは一旦引き上げた
炎の能力も、敵がいなくなり部屋は元通りになった
「大胡、大丈夫か?」
翔月は心配して俺に近寄る
「早く、来て欲しかった…」
「ごめん、次からは警報使ってくれよ」
「そうか翔月は来たばかりだから通信機はまだだったな 今瞳に連絡しよう」
俺たちは一旦司令官室から退散した
「――もしもし、陽桜瞳か?ああ、私だ 仲間に通信機を頼む 新しく仲間が入ってな…ああそれと 滝が入院した たまには顔を見せてやってくれ それじゃ」
司令官が連絡をしていたのは瞳さんにだった
「敵はまだ追っては来ない 大胡の様子を見に行くか」
俺は戦い始めて、初めての負傷だった
いつも、どんなに必死で滝さん達が俺たちを守ってくれているか身に染みる
俺は、俺たちは、弱い…――
部屋にある救急箱を取って、ガーゼを頬に貼ると
ドアをノックする音が聞こえた
「はい」
「私だ、司令官だ 入っていいか」
「どうぞ」
ガチャ
「司令官…」
司令官は申し訳なさそうな顔をした
「様子を見に来たよ」
「座ってください なにか出します」
いつもと司令官の雰囲気が違って見えた




