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―第三章―三八乃村へ

「・・・・・登るんですか?」

「そうだな。今ちょうどゴンドラ故障中だからな。いや・・・・本当にすまんな」

「いやだいじょ・・・ばないですが。頑張ります。はは」

険しい道と大きな山を前にして、苦笑いを浮かべるのですら苦痛に感じる。

「・・・・・じゃあ担いで行こうか?」

「いや大丈夫です」

「ふーんそう、でもちゃんと辛くなったら言えよ?。その時はお姫様抱っこで運んでやるから」


「やっぱその時は担いで下さい」

悪気の無さそうな癖にガチトーンの彼

残念そうにあーそうと呟いた後に

「それじゃあ、そろそろ行こうか」

コクコクと震えるように頷き、地獄の登山が始まろうとする。

が、この時の二人は気づかなかった。


背後に一つの怪しい影があることを。


――――――――

キツい。めっちゃキツい。これは本当に修行レベル星5だ。

ぜぇぜぇと息がきれる。

「大丈夫か?まだ半分も行ってないが」

「まじですか!?・・・・・はぁはぁ」

声もかすれる位に体力が持ってかれた。

「そうだなぁ。あそこの洞窟で一旦休憩するか。ということで!あと少し、頑張れ!」

軽く頷き、その洞窟へ向かう。



「ぷはぁ。はぁはぁはぁー。疲れた」

ペットボトルの水をゴクゴク飲むと

体はこれを求めていたのか、すぐに吸収していくのが分かる。

日陰の洞窟は涼しい。

「なあ、如月光さんってさ」

「はい」

真面目な表情での視線を感じ

なんだ。何かあったのか?と思いながら聞く態勢に入る。

「お姫様抱っこして欲しい人とかいるのか?」

違った。全然真面目な話じゃあ無かった。

ペットボトル片手に真剣にうーんと考え

「い・・・いませんね」

と目を逸らしながら答えると

「ふーん。そうなんだー」

と勝手にニヤニヤ笑ってる人がいる。


「本当に納得してます?」

「ああ、してるさ。お前には気になる子がいるって事がな♪」

「言ってませんし、違います」

すぐに訂正する。

へぇーそうなんだーと絶対に真に受けてない言い方で茶化される。


でも彼が楽しそうに笑うので、緊張していた私も自然と笑みが零れたのは彼には内緒。

(言ったらなんか負けな気がするから・・・・ね)


しばらく日陰で休憩した後、この場を去り登山を再開した。


再開した5分後には険しい道が続く。

それを乗り越えた先に待っていたのは、雑誌に載っていた景色だった。

本当に雑誌通りの異世界に来たみたいな風景で

思わず

「わぁ!こことても綺麗ですね!!」

と声が弾んだのを聞いて、彼は何処か誇らしげに

「ああ、そうだろ!ここは俺の気に入ってる場所の一つなんだ♪ちなみに修行メニューとしては、此処から命綱無しで飛び降りる」

「え・・・それ本当ですか?」

「あははっ!さぁね。どうだと思う?」

「・・・・・・・」

ジト目で見つめる先にはイタズラ好きな悪い子共の様な笑み

(私もしかして騙されかけてる!?)

そう思い終えた時、彼は聞き出すタイミングを奪うように話題を変える。

「さあ、ここまで来たらもうすぐだ。頑張るぞ!」

でもこれはこれで嬉しい話題だったので、私は

「はい!」

と気持ちを切り替え元気よく返事をした。


――――――――

――三八乃鍵視点―――


村長さんから聞いた、彼女を狙っているという情報は正しいようだ。

もう少しで着くというのになんだこの嫌な気配は。

森の空気が汚れている。

(薄くだが黒霧を張って、村まで来れない様にしておこう)

彼女にはバレない様に、俺の潜在能力で黒霧を出現させようと試みる。


が不思議にも辺りの風景は変わらない。


要するに潜在能力が使用できないのだ。


(これは・・・一大事だな)


彼女の方へ、手を伸ばし手を繋ぐ。

「絶対に俺から離れるなよ」

そう強く伝える。

彼女は何も感じないのか、首を傾げながらも強く

「??はい、分かりました。絶対に離れません」

約束してくれた。

「ああ、それでいい」


二人はこのまま三八乃村へと歩を進める。

――――――――



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