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92話

「えっと、ちょっと良いですか?俺何も知らされずに来たんですが、どうしてこんなに揉めているんですか?曲自体は良いんですよね?」


 宮崎さんがレンガさんに敗北したということだけは分かるが、何を言い争っていたのかが分からないため俺は説明をお願いすることにした。


「はい。というか私が作った曲をまだお聴きになっていないのですか?」


「はい。一切事情も説明されずに連れてこられたもので」


「それは困惑しますよね。ではこちらに来て下さい。作曲部屋に良いスピーカーがあるのでそこで聞きましょう」


「ありがとうございます」


 そう言われ、俺はレンガさんの作曲部屋に入った。


「ここで曲を作られているんですね……」


「そうですね。基本的にこの中で全て作っています」


「凄いですね」


 作曲部屋には何に使うのか分からないが、大量の機材が綺麗に整頓されていた。


「沢山お金を掛けていますからね」


「本業ですものね」


「はい。では準備が出来ましたので流しましょうか」


「お願いします」


「曲名は『No.daisycall』です。どうぞ」


『真相は、見えないね~♪』


『形あるものがあったとしても~♪』


『『『~聞きたくもない感傷に~♪』』』



「みたいな感じの曲です」


「普通に良い曲でしたね」


 そう言ってレンガさんは曲の再生を止めたのだが、俺が聞いている限りでは特に変な物は一切なかった気がする。


 俺とアスカの要素は割と控えめな代わりに、俺たちの歌声にぴったり合った曲だと思われる。


「私もそう思います。ただ、何か気になる点がありませんか?」


「気になる点?」


 そう言われて俺は曲を思い返す。


「言われてみると、アスカの比率がやけに高いですかね?」


 体感だがアスカが俺の2倍くらい歌っている気がする。男性ボーカロイドが俺のパートで女性ボーカロイドがアスカのパートだった場合だけど。


「そうですね。ではアスカさんのパートに注目して聞いてみてください」


「分かりました」


 アスカのパートに駄目なワードが入っていたとか?例えば歌い手をこき下ろすような内容とか。


 宮崎さんがキレるってなったらそれくらいしか思いつかない。


『真相は、見えないね~♪』


『『冗談じゃないわ~♪』』


 ん?なんかアスカのソロパートだと思っていたけど、これ二人が歌ってない?


 歌い手だと自身の歌に自身の声でハモリを入れることは日常茶飯事だと聞いていたから疑っていなかったけど、このハモリ多分別のボーカロイドだ。


「どうでした?」


「もしかして、アスカさんのパートって二人分ですか?」


「いや、違います。アスカさんのパートは硝音レイの方で、硝音ライの方は歌音サケビさんに歌ってもらう予定です」


「え?」


 二人のオリジナル曲じゃなかったんですか?そういう話でしたよね?


「最初はそういう形で進めていこうと思ったんですが、カラオケでサケビさんの生歌を聞いた時にこれはサケビさんも入れるべきだと確信しました」


「確信したって、俺とアスカのオリジナル曲って発注だったんですよね?」


 いくらいい出来だったとしても意に沿わないものを作ってきたら駄目だと思うんですが。


「まあサケビさんはそう考えていたでしょうね。ですが、私たちの契約では『九重ヤイバと雛菊アスカの声と歌唱力を最大限に活かせる曲を作ること』としか記載がされていません。つまりはですね、他に誰かが追加されていてもその点がカバーされていれば問題なかったわけです」


「ええ……」


 確かにそうかもしれないけど、常識的に考えて3人目を入れることはしないですよね……


「まあ、それでも普通なら私もやりませんよ。怒られますし。実際今サケビさんに絶賛怒られている最中ですしね」


「じゃあ何故今回やったんですか。やりたかったら後で提案すれば良かったじゃないですか」


 分かっているならやらないで欲しい。そもそも別に方法はいろいろあるんだし。後で3人の曲を提案するとかさ。


遅れて申し訳ありません。

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