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25話

「じゃあ次の質問。『ぐるぐるターバン先生との出会いはどんな感じでしたか?ちゃんと話してくれたことが無いので教えていただけると幸いです』だそうです。確かに二人の出会いは聞いたこと無いですね」


「別に何か変なエピソードとかは無く、単に同じクラスだったから仲良くなったってだけだぞ」


「そうなんだ。じゃああの人がぐるぐるターバンってのはいつ頃知ったの?」


「あいつがぐるぐるターバンって分かったのはDOTTOで連絡先を交換した時だな。あいつはプロらしく仕事用とプライベート用でスマホを分けているんだ。で、当時は馬鹿なのか知らんが、両方とも同じ機種を使っていてな。その日は寝ぼけたか何かで仕事用の方を持ってきていたんだよ」


「なるほど……」


「スマホを取り出してDOTTOを開いたときの表情は傑作だったな。今でも思い出して笑える」


 まさに絶望の二文字を表すに丁度いい顔だった。


「意外と抜けているんだね、あの人」


「意外ってほどか?あいつ配信でも結構ポカしてるって聞いたぞ。絶対に認めないらしいが」


「そうなんだ」


「気になった奴は『ぐるぐるターバン 水』で検索すると良いものが見れるからおすすめだぞ」


「そっか。見てみるね」


 多分配信中に水をこぼしたシーンだけで10分以上の切り抜きを作られたVtuberはどこを探してもあいつ一人だけだろう。


「これ以上は掘っても何も出ないぞ。ただの同級生が仕事仲間に変わっただけだからな」


「日常とか聞きたかったんだけどな。まあそれは二人でのコラボ配信で話しているしいっか。じゃあ次」


 それから俺は高校生活の話や、大会の振り返り、裏話など配信ではあまり触れてこなかった内容についてを色々と話した。


「じゃあ次の質問です。『ずばり、歌音サケビさんとはどんな関係なんですか?高校の同級生という答え以外でお願いします』とのことです」


 そして最後の質問がやってきた。恐らくこの配信でながめを含め皆が一番知りたかった内容は歌音サケビについて、だろう。


「関係となると歌わせる人と歌わされる人ってだけだな。こちらからは恋愛感情のような感情は無いし、あちらも無いと思うぞ」


 多分俺の声帯さえあれば十分って言うと思う。


「そうなんだ。男女だからって言うよりは歌ってみたを出した相手が近くに居たからとりあえず関わってみようってことなんだ」


「そういうことらしい。俺を九重ヤイバと認識したその日にやらされたことが『マイロック』の収録だったからな」


「なんかある意味凄いね。あの初配信をやるだけはあるよ」


「だな。ただそれよりも怖かったのが俺を九重ヤイバだと認識した方法だな」


「方法?」


「ああ。同じクラスの何人かでカラオケに行く機会があったんだが、歌声でバレた」


 カラオケの話はながめもそこに居たから気付く可能性はあるが、多分バレないだろ。こいつだし。


「別に歌が上手いからじゃないの?歌ってみたを日々巡回しているっぽいし」


「それは普通に歌った場合だ。日常生活では歌声からチャンネルに辿り着いてしまうことが無いように声を変えてカラオケでは歌っているんだよ。いくら見た目と話し声が九重ヤイバのままでも、歌ってみたが別人だったら他人の空似と言い張れるからな」


「確かにそうだね」


 同意しているがお前は違うだろ。全てがそのままだ。


「だから————」


 それから軽くカラオケ屋でのことについて話した。葵の存在は消して。


「それって人間?」


 一部始終を聞いたながめは若干ドン引きしていた。気持ちはよく分かる。


「正直怪しい所だが、一応人間らしい」


「とにかく歌に関しては信頼できそうな人だね」


「ああ。だから皆遠慮せずに依頼すると良いぞ。気概と録音環境さえあれば恐らく素人でも受けてくれるだろうからな」


 良い感じにまとめられたな。7分程度余っているが、それは誤差の範囲だろう。


「というわけで!最後の質問となります!」


 配信を纏めるのかと思いきや、とんでも無いことを言って来たぞ。


 もう質問は残ってないだろ。


「は!?聞いてないぞ?」


「というわけでドン!『ズバリ、ヤイバちゃんの好きなタイプを教えてください!』だそうです!」


「何だその質問は!そもそもマカロンからの質問ですら無いだろそれは!」


 配信画面に表示されていたのはrescordのチャット画面。勿論名前は雛菊アスカだ。


「別に良いじゃん。これも質問なんだから。リスナーも知りたいって言ってるよ」


 コメント欄もこいつらに便乗してやがる。ふざけんな。


「何で答えてやらないといけねえんだ」


 アスカの質問なら頑張ればスルー出来る。どうにか時間を稼げ。


「あ、もしかしてこの二人に逆らうの?」


 そう言いながら配信画面にツリッターのDMを二つ表示した。


 山田紅葉:『もう募集終わっているかもしれないからこっちでお願いするわ。九重ヤイバの好きなタイプを本番で聞いてくれない?事前に告知とかせずに』6時間前


 クロ:『もう募集終わってるかもと思ってこっちで伝えるね。私は九重ヤイバくんの好きな女の子のタイプを聞いて欲しいかな笑』 5時間前


「なるほどな。山田!この間の仕返しの為にクロを使ったな!!!」


 山田は馬鹿だからこんな絡め手を使ってくると思わなかった。若干舐めていたらしい。


 今度しっかりどっちが上かを分からせてやろう。


「ってことで、答えてくれるかな?」


 画面越しからもニヤニヤしているながめの顔が伝わってくる。


「はあ、だからこんなに質問が少なかったわけだ」


 今回用意された質問は順当に行けば40分ちょっとくらいで終わる位の量しか無かった。


 だから少しだけ長くなるようにしたりとか工夫していたんだが、この質問を確実に通す為だったらしい。


 確実にアスカの入れ知恵だな。後でシメることにしよう。


「だから、答えてもらえるかな?」


 流石にクロがバックに居るのに逃げるのは不味いしな……


 そうだ、これなら完璧だ。


「そうだな。俺の好きなタイプは、見た目で言えば髪は黒髪のショートで、外はねがあるのが好きだ。身長は160に少し届かない位か。胸はあまり気にしないが、あると少し嬉しい。次に性格か。常に明るく元気に振る舞っている子が良いな。後やっぱりゲームとか漫画、アニメとかを一緒に楽しんでくれるオタクが理想的だな、って所か」


 ということで羽柴葵のプロフィールをそのまま好きなタイプということにしてみた。


「え、あ、あ、あ、」


 気持ちよくフリーズしたな。思っていない所から実質的に愛の告白をされたようなものなのだから。しかも最推しとなればその喜びはどれほどのものだろうか。


 推しが産まれてこの方いた経験が無いので分からないが、この様子を見ていると大層嬉しいらしい。


「なあ水晶ながめ?これで満足か?そして山田、アスカ、これで良いのか?俺に聞いてきたんだから後でお前らもちゃんと答えるんだよな?逃げるのは許さないからな?」


「と、とりあえず配信を終わろうか」


「そうだな」


「というわけで初の九水コラボはここで終わりです。ありがとうございました~」


「じゃあな」


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