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24話

 樹のかねてからの願望であった3人でのVALPEXコラボを終え、樹と宮崎さんが仕事に追われている中、家で寛いでいた俺に1通のメッセージが届いた。



 水晶ながめ:『そろそろ約束だったタイマンコラボをしませんか?』


 大会の練習の時に決まったコラボの話だった。


 やりたい気持ちはあったのだが、何をすれば良いのかが思いつかなかったので連絡を送れなかったのだ。


 流石にまたVALPEXってのも味気ないからな。


 九重ヤイバ:『ああ、そうだな。どんな配信にするか?俺は何か流行りのゲームでもやるのが良いと思っているが』


 とりあえず返信をしておいた。一応ゲームで仲良くなった間柄だから、これが一番だと思う。


 何をやるかは正直思いついていないが。


 それもこれも葵が悪い。コラボ配信に使えそうなゲームは葵と二人でプレイ済だからだ。


 配信で使ったゲームをそのまま俺との遊びに持ち出してくるなよ。


 水晶ながめ:『それも良いんだけど、せっかくならマカロンで募集した質問に九重ヤイバ君が答えていく感じのコラボにしない?質問は全て私が用意するからさ。ヤイバ君は雑談配信したことないみたいだし。いい機会だと思って、ね?』


 つまりコラボという口実を使って九重ヤイバの情報収集がしたいんだな。葵の事を知らなければ気付かなかったかもしれないが、残念だったな。


 九重ヤイバ:『確かに雑談配信はしてこなかったな。丁度いい機会だしそれにしよう』


 まあ、可愛い幼馴染の願いだからな。


 水晶ながめ:『やった!ありがとう!じゃあ日程はどうする?ちゃんと告知をして、質問を募集する事も考えたら来週の月曜日とかかな?』


 九重ヤイバ:『その日なら大丈夫だ。21時半からでどうだ?』


 水晶ながめ:『21時半?大丈夫だよ!じゃあその日に絶対だよ!寝坊しないでね!』


 九重ヤイバ:『そんな時間に寝ているわけないだろ』


 水晶ながめ:『高校生だもんね!そりゃそうか!』


 九重ヤイバ:『そうだよ』


 水晶ながめ:『じゃあまた!』


 九重ヤイバ:『またな』


「月曜日か。一応注意しておかないとな」


 最早身バレを気にする必要は無い気がしないでもないが、更なる身バレを防ぐべく、対策を練ることにした。



 それから2日後、ながめが配信の為にマカロンで質問を募集し始めた。


 そして配信前日に配信で使う質問リストを送ってきてくれた。


 ながめは俺のスタイルをしっかりと理解してくれている為か、NGになるような質問は一つも無かった。



 そして配信当日、葵の家にて、


「ふんふんふっふん~♪」


 葵は気持ち良さそう


「ここ最近もそうだったけど今日は更に嬉しそうだね。何かあったの?」


 どう考えても九重ヤイバとのタイマンコラボが理由なのだが、知らない体で聞く。


「いやあ、九重ヤイバ君が初めて雑談配信をしてくれるんだよ~」


「なるほどな。この間質問を募集していたもんね」


「うん!どんな答えが返ってくるのか楽しみなんだ!」


 葵、その言い方だと質問の内容は全て知っているってことになるぞ。大丈夫か。


「折角だし一緒に見る?」


「え!?あ、その、一人で見たいかな~なんて」


 分かりやすく動揺している。まあ葵が九重ヤイバのコラボ相手だもんな。


「どうして?」


「だって絶対限界化しちゃうし……」


「長年一緒に居るんだから今更じゃない?」


「でも……」


「冗談だよ。こういうのは一人で見た方が良いよね」


「う、うん!」


「じゃあ、また明日!」


「バイバイ!」


 葵を揶揄って楽しんだところで、俺は配信部屋に急いだ。


「こんばんは、ながめ」


「こんばんは、ヤイバくん。今日はよろしくね!」


「ああ、よろしくな。音声は問題無いか?」


「うん、大丈夫!私は大丈夫?」


「問題ないぞ」


「じゃあ時間になったらそのまま配信を始めるね!」


 それから21時半まで軽く雑談をして時間を潰した。


「始まりました!初めての九水コラボ!!水担当、ゆめなま所属の水晶ながめです!」


「きゅうすいコラボ?なんだそれ」


 俺は『ここのえ』だから『きゅう』ではないが。


「今さっき勝手に決めました。良いでしょ?」


「まあいいか。九重ヤイバだ」


「というわけで今回は、雑談配信を産まれてこの方やったことの無いヤイバ君を引きずり出して、視聴者の質問に答えさせようという回です!」


「言い方酷くないか」


「今まで質問コーナーとかマカロン返しとかやってきた?」


「やったことないな。求められてもないだろ」


「この人数を見ても言えますか?」


 配信の画面には7000人という数字が表示されていた。


「偶然だろ」


「偶然で7000人集まるわけないでしょうが」


「かもな」


「ということでつべこべ言うのはやめてください」


「分かったよ」


 今回のながめは本気らしく、絶対に逃がさないつもりらしい。


「というわけで最初の質問!『好きな漫画とかアニメとかを教えてください』だそうです!」


 最初はジャブ代わりということで簡単な質問が飛んできた。


「そうだな。漫画だと『月刊少女堀くん』で、アニメなら火バスだな」


 俺もジャブとして葵が好きなものを狙い撃ちした。


「ほんと!?私も配信では言ってなかったけど二つとも好きだよ!」


「そうなのか」


 予想通り簡単に食いついてくれたな。でこの回答に続く質問といえば、


「どのキャラが好きなの?」


 鉄板の質問だな。とくに火バスに関しては同担他担チェックが重要らしいからな。俺は男だからあまり関係ない気もするが。


「堀くんの方は鹿島美琴だな。見た目はカッコいいのに中身が馬鹿なギャップが面白くて好きだ」


「ほうほう、火バスは?」


「緑原だな。世間では赤瀬が一番人気らしいが、俺はこいつが好きだ。異次元な能力を周りが使う中、圧倒的な身体能力と正確なシュートというシンプルな能力を使っているところが良い」


「凄く気が合うね!仲間が居て嬉しい!」


「それは良かった。ながめもその二人が好きなのか?」


 単に俺は葵が好きなキャラをまんま言っただけだしな。葵の影響で両方読んでいるから隙は無いぞ。


「うん!やっぱり————」


 それから軽く堀くんと火バスのトークをして、次の質問へ移った。


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