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121話

『さあさあ皆、柴犬だよ!!!!!今日は予告通り特別ゲストを連れてきて雑談コラボしようと思うよ!!!!』


 開始早々柴犬は元気よく挨拶をした。


 それに対してコメント欄の半分くらいが元気に返していた。


 残りの半分は当然水晶ながめだと思い込んでいる柴犬を叩く声だ。


『さて、超特別ゲストって言ってたけどどんな人かってのは伝えてなかったよね。これからヒントをあげるから当てていってね。一つ目のヒントは未成年!10個くらい若い子を連れてくるのに成功したんだ!!!ってみんなみんな、犯罪じゃないよ!?ちゃんと適切な距離感を保って良い関係を築かせてもらっているからね!!!!!そこ、誘拐もしてないよ!!!!』


 当然柴犬は自身を叩くコメントは無視していた。


 しかし、自身を叩くコメントを消すことはなかった。


 コメント欄を荒らすスパムコメントは高速で消しているので意図的に残している者だと思われる。


 配信がしにくい上に騙されているファンも楽しみにくい筈だが何の意図があるんだろうか?


『うーん、5つもヒントをあげたのに気づいてくれる気配がないなあ。飼い主の皆は分かってくれると思ったんだけど。まあ、来てもらえれば皆分かるよ。ってことで今回のゲストは現役男子高校生のY君だよ!!!!!』


 なんてことを考えている間に茶番は終わったらしく、配信に呼び出された。


「現役一般男子高校生のYだ。よろしく」


 というわけで九重ヤイバの声と性格のまま配信に参加した。


『ってことで来てくれたのは私の友人のY君だよ!当てられた人は誰も居なかったね。残念!!!』


 俺が声を発した瞬間、コメント欄が一気に加速した。恐らく友人Yの正体が九重ヤイバだという事に気づいたのだろう。まんま九重ヤイバだからな。


「なあ、あそこまで仰々しく視聴者に正体を当てさせていたが、ただの男子高校生だぞ?」


『男子高校生はただの人じゃないよ。ちゃんと入念に準備をしてから呼ばれるべき逸材だよ!?』


「この世に何万人いると思ってるんだ。まあいい、今日は何をするんだ?」


『今日は友人Y君と一緒にお題ボックスで質問に答えていこうと思っているよ。ツリッターと配信のコメント欄にリンクを貼ったからどんどん質問送っていってね』


「マカロンじゃないんだな」


『Vtuberじゃないからね。実写系配信者は黙ってお題ボックス!!!』


「別にそんなことないだろ」


『まあ、とりあえず一つ目の質問です!!!友人Yさんとはどこで知り合ったんですか?だということで。これは私から話しましょうか!!』


 名目上は視聴者から質問を受け付けるという形式にしているが、実際の所は最初から最後まで柴犬が作り出した嘘質問である。


 質問を準備していないという体にすることで意図的にうっかり水晶ながめ要素を出していこうということらしい。


『私って柴犬の活動をしている裏で個人事業主をしていまして。その取引先の方に紹介してもらって知り合いました』


 と語る柴犬。雛菊アスカ経由で水晶ながめと関わるようになったのは事実なのだが、柴犬ではないので真っ赤な嘘だ。


「言っていること自体は間違いないが語弊がありすぎるだろ。まるで出会いを求めた男女を取引先の人が引き合わせたみたいだろ」


『そう?まあそうか。取引先が引き合わせたのは当然仕事の為だからね。決してやましいことは……』


「滅茶苦茶ありそうだな。言ってみろ」


『えっとですね、私が取引先の人に引き合わせてくれと頼みました……』


「つまりはファンだったわけだ」


『そうです……』


「まあいい。結局仲良くなれたわけだからな」


 とある程度ライブ感のある流れで喋っているものの、柴犬が事前に用意していた台本通りである。


 ここでのうっかり要素は俺がファンを獲得する類の職業であることを明かすことである。


 まずは今話している相手が九重ヤイバだと確証を持ってもらいたいらしい。


 俺としても九重ヤイバだと視聴者に確証を持ってもらうことは必要なので特に問題は無い。


 寧ろ俺が九重ヤイバではないと思われてしまった時点でアウトだからな。


 それから数個は俺の学校生活についてや、俺と柴犬の好きなアニメや漫画など正直どうでも良い質問が続いた。


 一応お互いに九重ヤイバ、水晶ながめとして答えていた内容をなぞっているのだが、だから何と言った話である。ネットでいくらでも拾える内容だから誰でも同じことが出来るしな。


 まあこれについては尺稼ぎの意味合いが強い。柴犬にとっても俺にとっても本番の質問はここからだ。


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