その4 出発(Part.H)
「王都に来てそんなしてないのに左遷された。」
宿舎で荷造りをしながらぶうたれると、イヌウサギにお腹を抱えて笑われる。
人を説得しておいて、なんて犬なんだ!
ママから送られてきた手紙を開くと、やっぱり頑張りなさいとあって、がっくり。
誰か一人でも、そんな提案、断っちゃいなさいって言ってほしかったなあ。
でも結局、こうしなきゃいけないとは分かっていたけどね…。
手紙を畳んで荷物に入れる。
私の任務は、妖精の森の村の支部の体制が整うまでの、臨時職員。
オリヅル先輩は正職員で、村の開拓も手伝うこととなっている。
でも私はスコラ・リンデの学生でもあるから、ここを空にする必要はなかった。
いつでも戻ってこられる…はず!
「…!(行ってくるね、私のお部屋!)」
鞄をぎゅっと握りしめ、部屋に挨拶をして家を出る。
階段を降り、見慣れた商店街を通り抜け、水道橋を渡って、大通りを突き抜けて、馬車の停留所へ。
みだりなワープの使用は禁止されているから、随分この足も丈夫になった!
「はーぼー、こっち~(*’▽’)ノ」「先輩っ!」
停留所には、にこにこ手を振る先輩の姿。
うん、やっぱりこれを選んでよかったんだ!
その笑顔を見て、そう思った。
その4・終
ひとこと事項
ハーミアのあだ名
転送術士協会第五支部長・エーレンツィアは彼女をハー坊、オリヅルははーぼーと呼んでいるようである。




